数式は たった一行で 世界を担う きっとそれは 短歌も同じ
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モニタに流れるゼロイチを見つめるぼくにパイを焼いてくれるきみ
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天井に張り付くあかりに吸い込まれ震えて過ごす静かな夜よ
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「ヒト科 よくわからない」と図鑑に書いてある中学生という生き物
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あの頃に戻ったとしても 同じ道辿るのだろうか あの分岐点わかれみち
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菅公の社に仕へし三十余年みそとせあまり 少し誇らしき生かされし日々
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満開は想像の倍短くて 命は桜に例えられない
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いたわしき命かすかに輝きて蜜柑の悲鳴が確かにに聞こえる
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魂が確かにあると知り初めてあとたったの100年の旅
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インドカレー屋の読めない店名よ 夕日は今も揺らぐだろうか
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空と海 空と山との 境目の うつけたグレーの 彼方に行きたい
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ひさびさにきみを抱いだけばその頬からわずかに街の残り香がたつ
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突然に 飲みたくなるの わかるでしょ 私は今よ オレンジジュース
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門だけになった木造アパートに供えられてるコーヒーの缶
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確実に ただ一つだけ 言えることは 誰も幸せに 出来なかった
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君という 心の病を 患って 後遺症に 悩まされてる
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人間は番いを好むのか否か見れば見るほどよくわからない
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やることは山積みだけど捗るはパズルゲーのみ深夜2時半
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顔も見たこともないのに聞き慣れたラジオネームは友だちみたい
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目が合っただけでキスでもしたような甘い気持ちになる片想い
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今日こそは飛べる気がするビル達の風に煽られているペンギン
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妹の嫌いな味の八ッ橋のメモを片手に修学旅行
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隣まで溝さらいする母がいて皆に感謝され顔晴れ晴れと
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田掻く牛 牛久保谷戸で 控えめに 水を舐めるか 眼を細めつつ
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もういっそ君の心を縛りたい ランプの魔神もできないってさ
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世界一の顔だよねと言いたい 君は気づかない気づかないふり?
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寄りて見る痛々しさは、鬼罌粟の絳絳あかあかしきにセメントの降る
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鳥の巣が邪魔だと言われ破壊した 中はずいぶん温かかった
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泳げないきみは湯船に顔つけてちいさな海を両腕に抱く
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君の手の温度を知った午後三時 桜前線は止まらない
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