塵積ちりつもと言って相手は睨みつけどこで踏んだか分からぬ地雷
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体力と集中力は下降線 ウナギのぼりは血圧と愚痴と
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この心振り子のように揺れ動く貴方の言葉呼吸ひとつで
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期待などするから余計苦しいのだから今だけ一度限り、と
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いざよひをめづるこころはもちづきのころよりましてなほあかざりし
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遠くからカタンカタンと風に乗り電車の音が静かな夜に
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「右ならえ」「前へならえ」とならう内「個性」と呼ばれるものは無くなる
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寄り添った猫の吐息に染まる午後 一番優しい世界の端っこ
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大人おとな』 大入おおいりにも見える ずっとカラなのに今更何が入ってくる?
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投函すはずのハガキひらりと膝に落ち あらあらだめよと カバンに戻す
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一十百千万億兆京垓𥝱穣溝澗 精彩を欠く歌
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お隣の子どもの俳句新聞に 近くの才はさくらんぼ詠み
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大型バスゥにのってますだんだん町の中っでお隣さんハイお隣さんとーなーりーのーひーとーは本をよんでましたタンタンタンタン/まだまだ続く
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小さき手空に振り上げ主張する私この世に今産まれたと
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夏前の わずかに残る 涼しさを すべて吸い込み 立ち昇る雲
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ユーミンも孟浩然も春を詠む彼女は淡く彼はせつなく
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仕返しを気づかぬようにする君は気づかれてると知らないでいる
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「先生」と不意に呼ばれて振り向けばかつての少女母になりけり
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花の名を知らない君が教えてくれた中国語「我就喜歡你 Wǒ jiù xǐhuān nǐ
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検査入院にゅういんに備えて髪を切りたがる 母に一言 染めカラーは要らぬよ
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満天の 星空見上げ 目が覚める 夢だったのかと 笑い込み上げ
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前日の畑仕事で疲れ気味 薫風撫でるは午睡の頬よ
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珈琲の薫りの包むカフェにいて 来た道行く道静かに思ふ
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片隅に光集めて咲いている 都わすれの小さき花びら
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夜更かしで無理して仕事を進めても 翌日ボロボロ元の木阿弥
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カッコいい 祖父の雅号に 憧れて 一文字もらい クールに名乗り
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もう少し頑張ってね の気持ち込め古洗濯機の水垢落とし
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くるくるとレースのカーテンくるまって そこは小さな三歳の城
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結局は子どもが笑っているならば 何だっていい親といふもの
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この午後を 普通と呼ぶには どうしてぴかぴか 休日 あるいは
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