担任の屍を焚べ暖をとる君と同じクラスで良かった
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本当の春も分からず液晶で気温を見てはコートを羽織る
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月影のつつじの道の尽きる頃ひときわ匂う薔薇の咲く家
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一つずつ星に成り行く だあれにも見つからなかった三一字
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この情動 名ばかりの音となる前に 君を震わす音楽となれ
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滅亡は過程を考えるにつれて救いっぽさがなくなっていく
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牙・痛み・素肌・遠吠え・子供・くらやみ・人には戻れないわたし
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初夏の夜空見るだけで泣きそうな程苦しいよ君のせいだよ
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せっけんとシトラスで迷う制汗剤君はどっちが好きなのですか
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玉ねぎを切り涙する瞬間に生きているって実感できた
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悪い夢見て起きたときすぐ側に君がいてくれたらって思う
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デパ地下のショーケースに問い詰められる 母は何が好きなんだっけ
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リスニング案外得意かもしれない(※ 歯磨き中の君限定)
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前髪をたった1ミリ切るだけで世界はすこし明るくなった
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接続された世界がスクリーン越しに再演する20世紀
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会堂が装ったような赤じゅうたん ふたりが歩く式場となる
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君が生きていてくれること それだけが ただそれだけが、僕の幸福
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大人しく寝ているだけの日曜日 世界平和に貢献してる
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春。山に 呼ばれて野生化した姉は ご飯を一口分だけ残す
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大切にすればするほど穴が空く さよならなんかで片付けないで
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ほんとはさ、本物なんて怖いから 偽物だって愛されるから
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まだ治したくない傷もあっていい今日も痛いね生きていかなきゃ
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月の月の始まりの月のいない夜 古い日記を残らず燃やす・
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ちふゆさん(十四歳)
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在りし日の 真夏の夢は せせらいで 西瓜を洗う 風鈴の音
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退屈が わたしを縛りて 首を絞む 見やれば爪が 伸びたままで
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バス停で 雨を凌いだ 水無月の 濡れて輝く 紫の詩集
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図書室で 初めて太宰を 読むときの 夕陽に染まった がらんとした部屋
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脇目もふらず走り来たのに横に咲くのはありふれたヒメジョオン
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無神論者なので創造主ではなく所詮は人を責めるしかない
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