もう誰もファンタをコーヒーで割らず、あらしめられなくなった濁色
1
梅雨明けの間近の空の片隅に銀に輝く雲を見つけた
3
もう一度言ってください探偵さん、まさか凶器にえび満月を
5
この紙はかつてはコーラを無料 ただ にする力を持ってたクシャクシャの紙
6
ああ暑い こんな猛暑に焼かれるなら そのまま溶けてチーズになりたい
6
玄関の熱いドアノブ手をかけて ぬるま湯の中かき分けて行く
1
おはようとおやすみなさいの食事時 金魚鉢にて踊る愛魚よ
3
愛なのか 親切なのか 善なのか 恋と認めず 逃げ回るのみ
0
咳払い 呼吸を止める 痰でさえ 命を止める 死因となりぬ
0
いつの間に 秘密が一つ 二つなり 増殖すれば 身動きできず
0
スイカ食べ メロンを食べる その日まで 夏よ続けよ 雨と光を
1
涼し気に 夏の夕べは 夕涼み 涼しい風が 風呂上りかな
0
世知辛い 世なれど我に 肝胆相照らす義兄あに二人いる幸せ
0
戦争の 非情伝える 言葉とは 戦争知らぬ 平和な親子
0
米野球べいやきゅう 溜飲下げる 日本人 大谷くんが 凄すぎるだけ
0
また上がる 売価に転嫁 せざるをえず が 所得の上がる 見込みは薄し
0
明け六つ 早起きの子が 襖開け 何して遊ぶ 日曜の朝
1
春のよに 曖昧なまま 始まるの だけど終わりは はっきりな恋
1
いつもそう 君の思想や思い出を壊せる脳は愛を綴った
0
「雨のあと虹が懸かるよ」熱唱に「気象現象だけ」と呆れる
0
ペダル漕ぐ足を一度も止めぬまま登りきる坂今日はいい日だ
2
一生を賭けたつもりの一生にもともと価値がないこともある
6
午後三時シャカシャカポテト分け合って少女ふたりは幻になる
5
横顔の陰影にある寂しさが同じと思った恋だと思った
0
進める日進めない日があって良い 右脳と左脳寄り添いあって
10
Back to the Future? あ、その未来なら〈動く歩道〉の向こうにあった・
1
放課後の煌めくホコリ辿り着く パンドラの箱に「Amazon」の文字
2
夕焼けに「寂しくないよ」と落書きしチョーク投げたら双子座になる
12
いつの日か無くしたネクタイピンが見つかった三十五度の猛暑日
1
お願いがあります、あたしが死んだら骨をあなたに食べてほしいの
0