生活にその千円を積み上げる意味をときどき考えて夜
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角番の脱出にあと一勝は難敵だけど圧倒だった
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ヒロシマを伝える被爆二世また映画「オッペンハイマー」観たと
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逃げないで人を巻き込む力まだないのに古希をしている若い
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恩送り 出来ているのか足りぬのか 彼岸の入りに 亡父母に問ひたし
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福寿草の黄金の花が縮こまりじつと耐へをり降りしきる雪に
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透明な言葉で刺され適切な治療ができずずっと生傷
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もし僕の心が凸関数ならば偏微分してゼロとおくのに
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父に借り蛇腹カメラで撮った日の写真にはミヨちゃん笑ってる
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泣きたくて乗換駅で汽車を待つのは寅さんになりたいフラれ
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シベリアへ2月の空に真っ白な花嫁達の隊列がゆく
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ときんときんの削れた心臓 近寄らないででも抱きしめて死んで
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怒る、嘘をつく、怒る、また怒る、でもこれがわたしの祈りだから
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数年間鍛えて出来たブリッジが発病のあと憧れに戻る
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「ちいかわ」を待ち受けにした息子宛「チーかま」写真送り付く「既読」
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煌めいて ゆらめき踊る タカラモノ 明日は心に 蓋してススメ!
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レベル上げ って言いながら 同じ事 ずっとしてても 前に進めず
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こそばゆい つむじのあたりに ある月が 私を 縦に貫くようで
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終雪に 枝垂れる枯れ木を 恐れても 若葉の季節 ただ老いを待つ
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あの時の情熱はいま指先で静かに踊る31
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湯上がりに 疲れをほぐし 水琴の 音色愉しむ 春の夜更けに
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ショッピングモールのイートコーナーはしあわせ辿るタイムマシン
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雲が霞みおぼろの月は春めいて 天たかくわらう 猫のように
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ガンセンターシルバーの群に少女いる うつむく母を夕陽の映す
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散らした頭痛がブーメランでやってくる 今日はどうか眠れますように
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スマホも充電器も見つからなくて ふと死にたくなる耳鳴りの下
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一つでもあなたと多く夢を見たい たとえ多くは叶わなくても
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衝撃ヘ伝説ヘさあ英明の開幕にする古希は青春
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光る君へ 母に説明要るときがあるので 史実をおさらいしようか
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惰眠を貪るその傍で、聞こえてくるのは知らねぇ単語
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