うっかりと 桜を詠んで しまったら その儚さに 打ちのめされる
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大樹なる楠の二本を額縁に 丹沢かすむ涅槃仏やさし
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やっとこさ眠り夢見るミステリー謎解き開始(嫌いじゃないが)
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春のもや 森の濃淡薄れいて 流るる時間ときさへ ゆるり過ぎ往く
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かりんとう 実質値上げで がらんどう 箱の隙間に ひびくぼやき
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窓開けて 冷たい空気 吸い込みて 新芽と共に 今日が始まる
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最近はソシャゲを起動する暇も、無いまま眠り電車に揺られて
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「兄さん!」と声掛けてくる後輩のようになりたかったあくる日
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新社会人の愚痴を聞く度にニヤケてしまう僕は悪い子
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判断まよふ胸部写真をAIが「読影難度2」と即断す ああ
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小さき手小さきぬくもり携えて 新入生は校門くぐる
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散歩して見つけた小道の金柑は 風と一緒に鈴の音させ
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眠れない夜の向こうに銀河あり 静かに歩こう銀の欠片を
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感情の季語は四季折々 貴方の名前が良いのです
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晴れ空に ひとひらでいいと 願ったが 鈍色にびいろの空 花びらが満つ
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ほてりつつ 君より先に 自販機の コーヒー牛乳 コトンと落ちる
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工場が できてから消えた 桜の 並木までずっと 自転車でゆく
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遠距離も 慣れたつもりが 毎夜問う どうして隣に きみはいないの
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草の根を掻き分け通る春風が 私に変化を突きつける
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歌を口ずさむようにね 笑顔のキミを心に抱いてしまいたい
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枯れぬよう水を与えて 変わらない時を続けていくのだよ、まだ
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逃げ水のような「終末」 灼熱の路は地平を越えて続くが
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生ぬるい水の中を泳いでいた いつの間にか忘れていたけど
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花の名はあまり知らない ただそこに咲いていることそれだけでいい
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花、花が、好きです。あれは人間を、優しくさせるひとつの方法。
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雪が溶け 地面が顔を 出した時 すでにみどりで 生命せいめい感じ
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運命はないがあなたはそこにいてこれの名前は奇跡だとする
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ラジオから流れるエレカシ聞きながら歯医者さんに抜歯されてた日
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春の陽に浮かぶ幻すり抜けて貴方のよすがに私はなれない
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赤い糸信じてないと君は言うでも私にはそれが見えるよ
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