ちま猫は さらさらすべすべ チビ猫は わりともふもふ どちらもよきかな
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おしゃれ着の洗濯ボタンをピッと押し 朝がはじまる 花粉の朝が
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俗にいう「暑さ寒さも彼岸まで」どっち何だという空模様
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雪解けて地上に落ちた追憶の有翼少女は夢から覚める / Kanon
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春詠めど心は冬に未練あり 熱いコーヒー美味し寒さの
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あちこちで 押し出すのは足掻き 決まった錠剤 変えたい生活
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前の子の カバンについた  くまちゃんに 見つめられてる 2時間目
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ひな祭り 女雛真似する 孫娘 お澄まし上手に うれし淋しく
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沈丁花 隣家の庭に ひっそりと 春をかおりで 知るも楽しき
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駄菓子屋の三十円のあたりくじ寝床ひきだし片付けは、また
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暖かくなると見せては寒くなり春は焦らしてこの町にくる
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朝からの強風に意気挫かれて煩悩多き墓参り止む
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幼な子の名残りシーツに染みわたりこの冬いちの豊穣の海
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車検にて代車の暖房効かなくて寒の戻りに頼りなき風
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春分は 人の悲観を 増したるか 電車飛び込み 朝の品川
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不機嫌で人にあたってる現場みて笑いに変える力量求む
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オレンジが 水面を散らして 沈みゆく  燃える太陽 海は抱きしめ
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むかし来た ファストフード店 今もなお  シワしみ増えた 私らもなお
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花ことば「耐える愛」に「卑劣」とは かわいいハナニラ毒あるなんて
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庭に咲く切り花抱え墓参り荒れ吹く風がマッチを吹き消す
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生活にその千円を積み上げる意味をときどき考えて夜
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角番の脱出にあと一勝は難敵だけど圧倒だった
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ヒロシマを伝える被爆二世また映画「オッペンハイマー」観たと
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逃げないで人を巻き込む力まだないのに古希をしている若い
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恩送り 出来ているのか足りぬのか 彼岸の入りに 亡父母に問ひたし
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福寿草の黄金の花が縮こまりじつと耐へをり降りしきる雪に
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透明な言葉で刺され適切な治療ができずずっと生傷
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もし僕の心が凸関数ならば偏微分してゼロとおくのに
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父に借り蛇腹カメラで撮った日の写真にはミヨちゃん笑ってる
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泣きたくて乗換駅で汽車を待つのは寅さんになりたいフラれ
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