退勤路 夕日を横目に 涙する 秋刀魚が焼ける 七輪の煙
9
ほんとうに好きで煙草を吸っている 誓って惰性などではなくて
4
さようなら。今度あなたに会う時は、だるんだるんの部屋着でいいや
11
この三日、来たのは詐欺の電話だけ せめて合成音でなければ /人と話した気にもなれたか
17
「なんとなく」五文字で片付けたくなるほど 絡まる想いよ伝わってくれ
9
朔日の一日きりの雨の日に夏恋いしやと戯言を言う
11
赤い糸 細くなったねと 君がいう 交差点に 淡い蜃気楼
9
薫風が 鼻を掠めて 拭い去る 波の飛沫しぶきと 無垢なアザレア
8
鱗雲 茜の君に 誘われて 剥がれたヒレに 凛として立つ
8
聞き間違い ヒヤリハットを 書かされる 言い間違いと 指摘をせずに
15
突然に 想い溢れて 号泣した 我を抱きしめる キミは父のやう
24
席につきバスの発車を待つ間スマホで読んだパレスチナの記事
11
扇風機・エアコンフィルター掃除する 今夏の頑張り労りながら
31
採血が怖くて横のポスターを読んでますのでお気になさらず
13
ポケットに 忘れろ草を 詰め込んで あなたの胸に 飛び込んだ夜
10
夕暮れの風が教えてくれました 金木犀が咲き始めたよ
41
朝焼けがみるみるうちに光満ち見つめる我も満ち足りている。
12
涸れ果てた向日葵たちの亡骸を弔うようにそよぐ秋風
23
灰色の 空から落ちた黄色い実 ぎんなん丸い もうすぐ満月
17
エバミール切れて眠れない夜に朧の月を薄く見ている
8
神無月朔日つひたちを 迎へる筈の秋虫の唄 雨天で中止
26
慌し 朝の支度を 整えて 送りて気付く 都民の日とは
16
澱とけて母の声なき声きこゆ ひとり詠みつつおもひぐるぐる / 壁打ちの続きです
16
壁に打つ玉のごとくに歌を詠む 澱とけるまで返し続けん / Utakata有難い!
15
死者の声また蘇る午後1時針を落とすよロックのレコード
11
いつかこの秋を忘れる 喪失と身軽さだけでここにいたことを
10
おつかいの 駄賃で買った 果汁グミ 半分残して 大股で帰る
9
夕焼けがこんなにひどい色なのに部屋はふかく藍色に沈む
9
何がため政治家になりしそこの君 理念 信念 有や無しや
7
政治家の言葉はもはや力無し 選挙前の噓三昧
5