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命など儚くはぜる音だねと伏せる目照らす殺虫灯の
5
あの頃より
強くなれないの知っちゃった だって何回やってもだめなんだもん
9
古本の値札を剥がす指先にきみの仕事の正しさがある
10
1ミリもない力こぶを見せつけて やるぞやるぞ私はやるぞ
9
義憤ゆえ石を投げては糾弾し 変貌していく悪鬼の如く
6
前向いていなきゃいけないのならあなたがいる方を前としよう
8
障害者手帳の相談したあとにオーロラグレーのマニキュアを買う
13
生きている証しと詠みし歌なれどすべて消したき朝 歯をみがく
18
アルバムの古い姿を懐かしむ そんなの嫌だと自らに課す
16
十五時になりて覚醒 蝉の衆 尊き夏の尊きいのち
10
白飯にイカの塩辛ちょっとのせ煎茶を注ぐお茶漬けが好き
12
綺麗だと 言わなくていいから君の 運命の人は僕だと言って
4
君がいた 十九の夏は楽しかった 明日
二十歳
(
はたち
)
だよなんでいないの
5
いつだって通知も瞳も見続ける ずっとずっと待っているから
8
会いに行く 横須賀線一時間半 大事なものを幾つなくした
3
「もう一度やり直そう」と打ちかけて スワイプして飲むあの日のスミノフ
6
贈り物 みかんジュース残り一口 飲み切らないまま君とはお別れ
5
見返れば
経
(
ふ
)
る愛を知るベランダの夕には眠る金魚の浴衣
7
もう君とこれで終わりと気づいても またねと微笑む夜の駐車場
8
多分もうあの熱量では愛せないよ、「それでもいいから」って縋ってよ
5
掴
(
つか
)
めそな綿雲
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つふくふくと朝の青田を覗き込むごと
20
田舎だからって牧歌的であるわけない 煮詰まったなら人は狂うわ
15
蜩
(
ヒグラシ
)
の月に向かいて歌ううた 黄昏時に切なくひびく
18
一階と五階で だいぶ気温ちがう 夕焼けの名残 あわきパープル
17
たそがれに 街影遠く 君は来ず 待つほど遠く
彼
(
か
)
の恋の夢
11
あぜ道のエノコロ草はみのりゆれ かの日の
猫
(
ココ
)
に手招きをする
24
コンクリに打ち水散れば甘露なり 蝶集いてはいのち吸う午後
10
『申し訳ございません』を登録し連連連打 口から射出
6
週末に一口分の無軌道をシートベルトで捉える檸檬
7
在りし日の片恋は春 彼に似たちょいワルキャラに 想ひ出重ね
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