ひまわりの笑顔はどこかうつむいて わたしはきみの太陽になれない
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君の手を離すことなどしたくなかった 雪原に落ちたしずくの正体
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あんなにも月が丸い夜だから猫が笑って それから暗転
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揺さぶられ裏切られ迎合し執着しそしてゆるやかに死ぬ精神
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あの人のためにおぼえたコーヒーの淹れ方も味も忘れられない
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叫びたくなる夜のためあらかじめフォークで月を抉っておいて
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ほんとうはあらゆるタテマエを抜きにして ただ好きなひとに好かれたいだけ
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どうせなら早めに死ねばよかったと 醜く生きた ワンルームひとり
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理性とか常識とかを脱ぎ散らしさらわれるには良い月夜です
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またすぐに行ってしまわれるんですね わたしが春を愛していても
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疲れた身を委ねる電車の窓に映ゆ見慣れぬ都会まちの夕焼け沁みて
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春のの え渡りてはすがの根の 長雨ながめれてけぶ羣山むらやま
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最高級のブランド真ダコ肉厚に超がついてる食べたい今よ
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球拾いからをやらせてもらいますまだベテランじゃない古希がまた
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機嫌そこねたコピー機を撫でるあいだ夏が窓際に迫り来ていた
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怒ってる人のスーツにねこの毛がついてて「あっ」と言うと「あっ」と言った
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冬の、冷たい鼻先をこすりつけ合いながらするキスが優勝
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粗熱を取ってるご飯を持って出て冷めたらいっしょに戻ってきなさい
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なほあはし 散りくる花にかくれては しをらしくむ山のさくらは
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花のの かたきつぼみの春けて にぬるむ風を受けなむ
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君が言う「好き」はヒラヒラ飛んでって換気扇から夜に消えてく
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休みも混み混み、電車の旅、暖かい一日でした
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ナデナデを待って自ら立っちする 手のひらに頭ごーん、をするねこ
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看板を下ろしたお琴教室の壁の日焼けのあとに春風
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将来は何になりたい? 回答を待たずリネンに鋏を入れる
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ふと気付く 袖から覗く 片糸の 床に伏せった 私は惨め
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大声で「カレシできたか?」くそうざい 囁かれてもきもいから罪
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皿のふちきゅっと握って離さない生たこの足死んでるくせに
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この皿は広くて浅いみずたまりブリュレの焦げが大きくできる
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珈琲を 冷たく飲みたい この陽気 アイスの淹れ方 忘れて検索
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