来年の約束をするうそつきの舌と右手に踊らされてる
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たれひとり解かれぬ字もてかはす文ひとに知らゆな燃ゆる思ひを
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落ちる陽が君の影だけ連れてきて  触れてたしかに 指先に熱
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外を見る猫のあたまを見つめてる私を見てるまた別の猫
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会いたいよ 君の写真に語る夜半よわ この声はもう届かないけど
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歳上の老紳士にも追い抜かれ サルコペニアなのこれ? 暗然とする
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粛清王スターリンのミニ版が 隣の国に現れい出る
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むすやばい くすりもらった しごとさがす 寄るべなき母子 なき者とされ
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よく振ったシャンパン持ってきみの夢に忍び込むのは犯罪ですか
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元部下に 想いを寄せて 10数年 特別な人 なれる日来るか❓
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「ミスタープロ野球」と呼ばれしひとの訃報聞き「巨人・大鵬・卵焼き」とふ連句が浮かびぬ
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緑分けラリーするごと道行かばポツンと家ありテレビで見る様な
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多忙な日 貴女の笑顔を 想い出し せめて今夜は 夢で逢えたら
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雨粒の落ちてくる空の底を見るあなたの心見つめるように
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それだけが生きる望みというのなら 君の心に住む人に傘
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月曜の朝の公園静かなりに鳴く雀餌なくば去る
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安達太良の 木道脇にスミレ咲く 可憐な姿疲れ癒やせり 
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あちこちで田は野に変わり農家消え猪駆ける値段なんてさ
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亀よりもおそく歩いているらしく スタートラインも見えない未だ
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飛行機やヘリコプターは遊泳す溺れたような音を立てつつ
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カピカピの米粒たちを寄せ集めデカ米粒になあれ朝まで
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セーターが生乾き臭させながらアジサイになる六月の床
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??麺 逆から読むとンメンャビンャビ 逆から読むと??麺
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机に向かひてただマウスを動かすのみの昼過ぎの夏時雨
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古人にも由無きことを書き付けて残したる者ありけるぞかし
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パンツ一丁の自撮りでリアクションを稼ぎたる自傷行為かな
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透明でいたいと思うことがある寂しいけれど安心なので
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酉の刻を王莽が時と称すなり史書の間にも魔に逢ふらむか
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紫陽花の異なる色におどろきて旅居たびゐの庭の雨しづやかなり
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考試いざ走らする筆止まりたる時に学びの幾年かを見ゆ
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