泣きながら パンを齧った そのひとに 月明かりみて 影を重ねる
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一年の 悲喜こもごもを 知りもせず 昨日のごとく 燕が戻る
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「アプリです」恋のきっかけまぶしくて 公衆電話に硬貨が落ちる
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亡くなった母が出てきたからこれが夢だと気づき起きて少し泣く
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何処ゐづこから散りぬ桜花おうかの振り積もる路肩 見上ぐれば葉桜そよ
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空仰ぐ落花の上に傘の花見え隠れする枝の恋しき
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わたくしの善悪の程如何ばかり猶予の今に考へもなく
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せいくらべ 孫はつまより 十センチ 高くなりけり アスパラの如く
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「善意は善意を敵意は敵意を」に「石器時代」の協議脅迫/イランアメリカ
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「コストコで  買い物すると  太りそう…」 「…そうじゃなくて  太るんだってば」
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鶯も桜もちゃんと春やってる 吾は怠惰を恥じつつ愛でる
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チビ猫の 首輪もどっか 見当たらない 買い替えどきを 知らせているか
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蝌蚪かと逃げろやばいぞ逃げろ消防団放水訓練ほら始めるぞ/蝌蚪かと―おたまじゃくし
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座している 雲の間の 太陽や 少し歩こう 時に任せて
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アネモネとかたみに奏づ旋律はドレス宝石纏ひて舞へり
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砂論では正義説かれど疑へば斬られやうやく叫ぶ我なり
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いつ知らず 三百超えて 人様の お口汚しの 駄歌の菓子箱 /Utakata短歌投稿三百首
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「コメ黒」の コーヒーの香を 嗅がせけり お目々ぱっちり 木彫りミミズク /コメダ珈琲北大路店「コメ黒」
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築泥(つきひじ) の 崩れを抜けて 吹く風の 地を擦るときに 君は声挙ぐ /奈良懐古
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手水舎に 穢れ清める 湧き水の 指慈しみ 水ぬるみけり
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春なれば 『田村』謡うと 取り上げし 和綴の本の 紐切れて居り /観世流大成版謡本
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あの人はあの子の前じゃあんな顔するんだなって知っちゃったから
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そりゃああなた持ってるやつが「持つな」って云うから八十年不均衡
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まう初夏の風か 監視員となり子らのボールを眺むビール呑みながら
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忖度の推敲かさねた文面のママ友グループラインの行方
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月面の裏にゆくより海峡を通る話題におどる世界は
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嗚呼友も我も目悪く卒アルの初恋のひと見つからずゐる
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海峡のことをおもひてゆく呑みの罪深き足取りあたたかき夜
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不在の 自由奔放 ヘデラのツル 我がもの顔で隣家のフェンスへ
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散る桜 残る桜も 散る桜 泡の如くに 夢の如くなり
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