臼と杵忘れたうさぎは飛び込む満月の夜炎の中へ
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彼岸花 肥沃の大地 一面に 我が血の赤と我が骨の白
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俯いて「人を信じたい」と言う君の 言葉を愛す宗教に入る
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頼むから誰か殺してくれないか (どこかでホトトギスが鳴いてる)
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きみはたぶん序盤のつよい中ボスで我が人生の裏ボスじゃない
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残り日が何日だろうと君愛す欠点も全て愛しく思えて
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君に告ぐ今日ばかりは僕の持つ悪い予感が当たったみたいだ
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もう疾うに大人になったくせにまた十七歳の瞳で責める
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頼むから誰か殺してくれないか (ナイフはなにも答えてくれない)
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食前酒 食中酒あと 食後のしゅ 飲んでばかりと 我が子諌める
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楽しくて ああ気持ち良き 最高の 現実逃避 ストロングゼロ
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苦痛に耐えられぬ時 飲むがいい とトキが言う よきストロングゼロ
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雨垂れに銀盤光れど、隠るらし おおつちなべて錫色と見ゆ
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栗色の眼に小雨の香りして つと地を見れば爪はそら色
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心拍の残量、人ごと定まりて 打てば減るらむ定命の者
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拍動を上げれば冷えた現実の接触面はほんのりとする
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また来たる、いま。とらへてや。そらしてや。あさがほの紫紺、身に沁むばかり
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飴色の貴方のピースを揃えては孔の空いてて秋ぞら青く
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朧月 ぼんやり光る 夜のはじめ どうか足元照らしておくれ
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晋作の言葉がずっと響いてる。面白くなるのはそうするからだと。
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寓居にて宮司はつまむ群生す茱萸ぐみの樹に生る紅蓮のしずく
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このつぎの つきめいにちは さんしゅう忌 お彼岸パスし ジィジわらうか
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朝から鮭を焼くような丁寧な暮らしを夢に菓子パンを食う
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平和にもチャンスをくれと言い続け四半世紀を生き延びている
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まだ空は明るいよまだ遊べるよ子どもみたいだねってあなたが
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掃き掃除 ご近所さんも ご一緒に 綺麗にしなきゃ お彼岸だもの
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平凡な 一日いちにちだった と思える ような一日いちにち  だったらいいな
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コロナ癒え敬老祝うファミレスで味覚障害の現実を知る
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ファミレスの窓越しに見ゆる渋滞に連休の夢膨らんでいて
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いと息子キミと海をバックに写真撮る マスクを取って笑ってくれた
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