秋来ぬと目にもさやかに見える頃もうすぐ故郷は鮭に沸く頃
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うちの猫らも保護猫でした べつべつに 半年違いで家に来ました
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私から彼を奪っていく猫は大抵黒ではなくて灰色
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お伊勢茶を大事に置いてて期限切れ コンビニ塩豆大福を食む
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こねこの時もらわれてった保護猫よ いまも元気に暮らしているか
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野良猫に 亡き愛猫の名を呼べば 涙がポロリ  ごめんねお行き
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きみは喜ばないだろうけど、今ここで生きててくれてありがとう
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うつくしいお前を祝うためだけにあらゆる炎が風に吹かれる
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座椅子の上 アンモニャイトがふたつ並ぶ 陽当たりも良く わが猫らスヤスヤ
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ため息でしぼんでしまった歌心うたごころしかったかもと風を入れつつ
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蛇口から出る水ひやり心地良く 合いの服など出すも楽し
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薄衣うすぎぬのような秋雲 たおやかな空 待ち焦がれた季節に浸る
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秋晴れがもったいないなと思いつつ ダルくねむたく うとうとしたく
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夢でしか 逢えない人に 夢で逢い なのに悲しい 夢物語
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微睡まどろみをひんやり撫でる風ありて このころだけの「軽井沢かも」
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夜中二時 骨砕く音で目が覚める 苦しさよりも痛み噛みしむ
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テレ︵遠隔︶診療 お医者でなくて AI診察 本人よりも 適切だったり
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残る陽に汗流るるもシャワーでは心許なく秋深まりぬ
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早霜に道は閉ぢたる奥山の嵐を分けてわたるかりがね
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鼻抜ける 煙草と珈琲 燻されて 大人になった 気がしてる朝
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中秋の 満月ひとつ 浮かぶ夜 地球テラの月明かり 我が苦きを薄めて
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駅裏の ジャムとバターのモーニング 透明な朝 猫じゃらし振る
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秋晴れや信号待ちの隣人は口紅を塗る月曜の朝
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知った顔夢かうつつか出くわしてしばし微睡む心の旅路
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潮騒の静寂しじまに揺れる夜の風ゆらりふわりとどこか遠くへ
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晴れの朝 祖父にもらいし 我が名前 ほがらかでいる 青空に誓う
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むかつくよ低学歴の俺でさえ芸能人の文化人ヅラ
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山々の色うつりしの便りきて 麓にいつつ 山頂を知る
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蛇は耳が聞こえない だから彼も私の声が聞こえていない
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あと少し ともに生きよう 産まれくる 君に伝える 「ありがとう」って
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