精霊が嘘や葛藤見透かして見つめおりたる恥じる私を
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ちゃっかりと我の布団に潜り込む幼な子ふたりの温さ恋しや
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道化師と透明人間 両方を演じてしまうあなたの素顔
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月光に 今宵こよいのオリオン 席ゆずる 今年最後の 明日は満月
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開けちゃダメです御守りは アプリもね開き過ぎると運が逃げます
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豆苗の切り揃えたりし平面にひょろり一本の芽の立つを見ゆ
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白い部屋、カーテンの隙から入る弱い光は、僕を追い込む
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キレイだね 瑞々しくて 白い肌 嬉々としながら 大根選び
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きれいだね、なにもない君の胸のうち。まきあがる砂、感情のなみ。
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お土産の バームクーヘン まじまじと 眺めいただく 甘い年輪
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学年が上がればリズム早くなり英語の歌は聞き取りづらく
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ブカブカの園服を着た年少のはにかんでゐる君と目が合ふ
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マスクして時間ずらしてコロナ禍を思い出させる発表会の園
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冬夜道とうやみち やけに綺麗な 月明かり 綺麗ですねと 言ってみたくて
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すすき揺れ 車道の傍ら すすき揺れ 月が恋しと すすき揺れ
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寒いのが 嫌なんだなと 思われる のが嫌なので コートは着ない
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雪轍地上絵足場 枯尾花 枝葉墨色 黄色が動く
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純粋なあなたの強い正義感一目惚れした夜があゝ最後
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吹く風の 寒さばかりに 気を取られ しぼむ心を 照らす冴え月
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顔を上げればどの人もつがいだな素直に羨ましいなと思う
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俺の持ついくつもの意外性を君だけに知ってもらいたいと思う
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意外にも俺はいろんなものごとに興味を持つし習いすらする
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意外にも俺は休日の朝に起き電車に乗って出かけたりもする
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誰にでも好かれるような人ならば 俺の出る幕探してもなし
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悲しいと 「辛い」ときには 人に話す 一人足したら 「幸」に変われる
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草花を愛せし兄の庭ならば 草と言えども 刈る前拝む
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疎遠なる 兄の遺したゴミかたし 役に立たない後悔しきり
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廃屋の 郵便受けをのぞいたら クロウリハムシの冬越しの群れ
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パーカーにフリースガウン羽織ったら「後白河法皇」と女房に言われ
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いつか来る自分の死へと思い馳せ「明日も生きたい」毎日願う
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