この道をきのう横切るねこが居てまぐれあたりは繰り返せない
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ねるねるとねるねるねるねの違いをば妻が解説初めて知りぬ
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過ぎ去っていった日々への道しるべとして静かに咲く金木犀
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早蕨さわらびは桜が咲けば摘む頃と父に従い山に 分け入る
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砂丘越え父に付き行く日本海タモで捕らえし渡りかにの味
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名月の光りを受けて旅客機は 北へと向かふ浦賀海峡
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よるけて眠気がふわりと迫りくる 月夜に誘われコトっと眠る 
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窓を開け外の空気を感じ取る 残しておいた半袖を着る
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ああ君が 懐かしい人に なる前に 好きだと言える 勇気が欲しい
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行って来るよ欲しいものある うめ-もん そんなもんは狭き門
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また一つ楽しみ増えてノミを研ぐ短冊かけを作ると決めて
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來世は 金木犀咲く 地に生まれ あなたの気配 思い出さない
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世の中があまりに速く進むから 周回遅れの朝焼けの雲
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行列の一番まえにこぎつけて最大級に恋する気持ち
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真夜中へ錨をおろすよう本をひらく夢との境界線で
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ほがらかに 私の空だ 晴れ晴れと 見ているはずさ 門出の一歩
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初出勤 何もわからず やれるのか 深層心理 ワクワクのくせに
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駅を出ると色いろな灯り 少し考えて縄のれんに入る
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特養のはは指あげて怒りをり声出なければ意味の分からず
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尾長の群れは編隊飛行 ギャーギャーと鳴きながら去っていった
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特養の母われを見てにつこりと笑ひたりしが誰か覚えず
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海は青く潮風が頬をかすめる 波の音が太古へと誘う
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特養の母きげんよ良し声出ねど息子の名前くち開けて言ふ
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独り飲む 薬か…酒か…眠れずに あと3時間で出勤だ 
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子を連れた先ではどこでも現れる 茶色いマントのアンパンの君
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何百回何千回の「ちょっと待ってて」 ちくちく積もる母の心に
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秋の夜を金木犀で締めくくれ迫る試験はそっと忘れて
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「快適のおまかせ」なるは本当に 快適温度か リモコンに問ふ
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突き刺さる引っかからない箸や棒 抜いて飯食い血肉を作る
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1時間早く寝たらば 約2時間 ねこ早く目覚め ねこ母、苦笑
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