君が読んだのと同じ小説の、君がなぞったのと同じ文字をなぞる
4
落ち込んで傷つき倒れて起き上がり ああ、やっぱり僕は生きてる
12
僕はもう知ってしまった もう二度と出来なくなった 無邪気な恋は
8
たわいない 話で笑った あの頃に もう戻れない 寂しい晩酌
18
胃袋が小さくなったと嘆く父が残したご飯を処理してる僕
8
日曜の朝パルナスの歌流れロシアは優しい国だったのに
7
父親の荒い走りで遠くまで カーステレオは穏やかな春
15
「雪原の足あと」門田のピッケル、秀岳荘の親父、広尾又吉、筆りんどう、なんかほっこり北の国
5
天使などいないと知って15歳 あたしいつから惨めなんだっけ
5
散る花よ 実も種もなく若く逝く のように 生きればよいに
13
決めかねて 考えやめて いや待てよ 何回やるの? はよ決めれ
5
ついと飛ぶ磯鵯ひよどりせな 鮮やかなブルーに一瞬暑さ忘れる
19
顔知らぬ 友の詠みたる情景が まぶたに浮かび ひとりほころぶ
23
恒星でなくとも夜を埋める星 街を見下ろす黒になる夢
12
なぜ梅を全部漬けたと怒られて 半分シロップ?そんなの知らんわ!
7
真っ青な空に夏雲小さな手わたあめみたいいつかの娘
12
濃く入れた紅茶を氷たくさんのグラスに注ぐ瞬間が好き
8
吊り橋が苦手なあなた置いてきて夏空の下海を眺める
10
「アンブレラ」ちょっと何かの呪文みたい 雨傘もうじき出番がたくさん
21
上品に待つのが恋の極意なら 私はダメそう 「会いたいよ」
9
冷蔵庫の奥で見つけたパッションティー メロンゼリーのお供トロピカル
9
雨がやみ 燕飛び交う 空色は 十人十色 それぞれの色
18
ぼくはねこの病気人笑えない し喋れない けど文字は打てます
6
我が庭のプール開きに近所の子 水遊びグッズ手に駆けてくる
15
猛烈な日差しの中でミンミンと 蝉の声まだ聞こえぬ不思議
12
汗をかく綾鷹の溝なぞる指涼しい仕草惹かれた私
10
僕らが主人公じゃなかった事 美化して小説にしないでね
5
公約はいつも立派で聞き飽きて小池のまわりに蓮や石やら
12
憧れのティーフロートとナポリタンあの店に行くこの夏の夢
9
いいこともやなことみな巻き込んだ物語の中にいる私
23