曇り夜に湿る草はら隣の君が見えない星に心を凝らす
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ペディキュアをとって現る褪せた爪サンダルの跡甲に残れり
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おおしけと カフカエスクと 赤い気分 クリームソーダ よく冷えてゐた
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ねこたちは きょうもぷろれす おみずいれ ひっくり返して ゆか、水浸し(涙)
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新札と 一緒に使い 店員が二千円札 じっと眺める
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キミは秒針 短針は ぼくだろう ヤツは長身 かなわないかな
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店じまい 珈琲館の 思い出も 静かに キミの 黒髪送り 
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コーヒーに ついてくるあの 豆菓子を ボクの分まで 持ってくあのコ
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長き時 付き合いくれた ヘルニアに そっとつぶやく 暫く休め
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白桃とプルーンを前に悩んでる君の瞳にうつる惑星
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イヤな奴が来るちょっと前のこの思い月に一度でたくさんなんだが
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思いかえせ ピテカントロプスもじゃもじゃぞ ホモサピはその九割捨てた
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日本の新たなノーマル上書きす 猛暑に地震台風動かず
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思いかえせ 宇宙人のイメージ図 頭に毛があるは劣等の証
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高らかに宣言するぞ今こそは はげは進化の究極である
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十年後 頭髪もまた脱毛の 対象となるは明らかなるぞ
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我が幼少 胸毛男がモテていた 今脱毛の対象となる
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生きてたら乗れたんだから龍の背に 必死に叩くでしょ太鼓とか
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半世紀過ぎてようやく古紙に出す宮本武蔵と橋のない川
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父を見て生き甲斐を持つ大切さ 包丁研ぎを横からのぞ
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昇降口夏のプールに合宿棟 浮かぶ風景君との想い出
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目ハッキリ のろのろ台風 まだ遠い ドーナツ食べたい 丸型に穴
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目を閉じて瞼に浮かぶ青い色 キミと見上げた今日の月かも
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台風も進路決めかね立ち止まるどうすればいい僕の二学期
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繰り返し 浮かんで沈む 恋心 いっそこのまま  流れていって 
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かんのわのなのこくおうのきんいんのみつかるたんぼのはなしすきなの
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盆明けの暮れ窓から押し入る熱風に小さな秋を見つける夏風邪
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明日まで 持ち越したくない 喧嘩さえ 愛しくもある 君との暮らし
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せいを終えその瞬間も子に見せず 一人で逝った母の気丈さ
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「もし過去に戻れるのなら」 そんなこと考えたって仕方ないでしょ?
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