季節柄こんな薄着でいいのかと 街へ繰り出す15分前
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マイページ読み返しながら思い出す 最良の日と最悪の日
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檸檬堂 オキニのコップ 割っちゃった バラバラになった レモンの枝葉
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木枯らしもこの目で海を見るまではジャケット揺らすエフェクトになる
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「夕焼けを見てた」と言って誤魔化した あの子のバスは西日で滲む
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金沢駅 ホームにできた行列は 大阪ゆきの特急を迎ふ
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うらやましきものの一つに禿髪のよく似合ってるいきな男があり
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連休に金沢を発つ特急は 名残惜しさを抱えて去りゆく
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一年は瞬き一つする早さ貯まる思い出永遠となる
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酔うほどに患者ひと多き土曜 無事終えて スタッフ皆の「はあ…」がハモる
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ねこたちは 日向ぼっこから目が覚めて オヤツが欲しくて つぶらな瞳
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今日こそは適当レシピ見つけ出し 生クリームをお菓子に変身
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まっすぐな君の瞳にときめいて心の中でシャッターを切る
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置き配をやめ受け取った荷とともに言葉に笑顔  陽が照りつける
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晴れの日に傘をさしてる人がいてあれは河童の末裔だろう
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右をみて左みてもういちど右みている君の左目に、青
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中年になりぬるわれよ地平にて愛語のすべてふと見失う
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未知数は立った式より遥か多く分からないままに消えた二人は
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金木犀復活させようと笑ってハンドクリームを手のひらに塗る
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目が覚めた体重増えたなんてこと!?体重計よ嘘をついてよ
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咽び泣く 隣にそっと寄り添って「手当て」とばかり背中に温度
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夜半四時。 ミネラルウォータ、喉を疾る。 音楽を耳に。頽廃を見る。
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見る人なきイルミネイションのさみしさに見せる人なき写真を撮る
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六芒星 十字なんかの 偶数頂︵点︶ 一筆書きできぬ 砂漠の宗教 /五芒星(陰陽道)は一筆書き可能 ー 修正しまうま
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食器用 スポンジかえて コップ底 あらってすがしい たんじゅんなおれ
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前歩く弓道部の矢天目指す我が身に刺さる青春だなぁ
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この家のどこかに必ず居る猫を見つけられずに心臓止まる
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秋ふかき寝つかれぬに人生の追いだきボタン探す七十路
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描いた絵の中で微笑む人形に悔いつつ捨てた日を思う朝
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乾電池小さい中に命ため再び動く掛け時計 ホッ
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