五年ほど外にでていた海はひろい、何の成果もなかったけれど
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この肌に残らない傷は傷じゃない 夜のとばりはしずかに落ちて
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額縁は絶対金色にしたいの 中は暗いし手を繋ごうね
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寂しさを感じるときは三人称視点の俺が見下ろしている
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アラームがいつものように鳴り響く二度寝ができる幸せな朝
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怪談を、ここで一作 さっきから言ってる僕の彼女って誰?
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終末は 縁もゆかりもない場所で、君とぼくとの中間地点
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丁寧なメール送ったはずなのに 変身したか変な返信
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明日のこと受験のことが不安でも 「タイムセール逃してくれ」聴く
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三連休 気持ちがモヤモヤせぬように 笑顔で気を使ってくれる君
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乾いた手 インク掃除とサスペンス! 現場に残った凶器はGペン
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線をひく、塗りつぶす。あと、うた記す。「僕はここだ」と虚空に飛ばす。
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たが母も血より淋しきもの通いかつてからすのからかいに泣く
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寂しい瞬間とき。 君がぷっちょの 包み紙、 読まなくなってしまったとき。
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街中で ショートヘアーを 見るたびに 君がよぎって 心が痛む
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一時間に一本走る鈍行で 乗り遅れかけの客 みなで少し待つ
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疲れ果て 列車で休む友の横 我はせっせとことばを紡ぐ
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静けさと 中古の赤の エレキギター 夢の中でも 上手く弾けない
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恋のあじ 我から遠くなりにけり まだそれほどに味は知らぬが
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いつまでも揺れる本心 省みる 理由はないが目標はある
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最近はないものねだりが多すぎて 手の指を虚空に伸ばす感覚
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横顔の麗しさ まだ変わらずに ずっと変わらず ずっと変わらず
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材料を揃え手間暇かけたとて冷食に負ける もう作らない
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茜から藍へと向かう夕空に捥がぬ柿の実点描散らし
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ダル眠く なんもしたくない夜だけど チンゲンサイの安さに負けた>シロさんかな
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夕空に飛行機雲を7機見る 線を伸ばして交差する夢
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祝日も普段通りの家事炊事 文化の匂い無きまま暮れて
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しばらくは出番なきこと祈りつつ クリーニング出す黒の礼服
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子は母の約束守らぬものだよ、とだれか笑って私にいって
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そういえば きょうは旗日だ祝日だ 隣家の門の国旗で気付く
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