思い出の エンドロール 好きな君 余命宣告 ノンフィクション
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強いとは痛みを耐えることでなく 誰かの悲劇を癒せることだ
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体温と同じ温度の微温湯に体を濡らし少し冷めたり
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NHK イスラエル ガザの死者数ならべる 真珠湾数と 広島なれべてみせろ
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子供時代親戚の家間違えて大爆笑の見知らぬ家族
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行ってきます まだ暗い朝に声潜め エンジン掛けてそっと出勤
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ひとりきり 作り置きの夕飯を食べる いただきますと言ったかな
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不整脈 働きすぎとわかっても 人員不足なんともならぬ
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おせち おせち おせ  チェレンコフ放射光 だった世界線
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世の中はいろんな人がいるんだと 外に出て誰かの影を踏む
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おだやかな湖畔の森の香りの湯 お風呂上がりはカルピスアイス
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カルカンをたんまり食べた にちようび ねこはいつまでも垂れてねむたい
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喧騒の歌舞伎町には今日もまた静かに光る星空がある
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窓際で 花瓶に挿した 切なさが 揺れているだけ 揺れているだけ
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かなしみは迷路をすすむ毎日は解かれぬままに訪れる冬
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多島海に抱かれ泣いた瞬間に胸いっぱいのかなしみは塵
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悲しみは地層となりて石塔は怒りをはらみまっすぐにそら
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明日あしたから息子キミへの弁当復活す 副菜おかずせっせと3品
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毎日が何処どこかの誰かバースデイ ローソクの火に夜が明るい
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月に手が届かないままキスしよう「かみさまちょっとあっち向いてて」
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振る舞いの豚汁沁みる寒い中 ちびっこ力士土俵で四股踏み
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苦しみがぼくのうしろをついてくる 震えながら飲む抗不安薬
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寒いよ~なんて言葉を口にして秋は冬へと変わるのかしら
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かなしいの 知らない誰かの大切なひとが死ぬのが いまもどこかで
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寒空に少しの不安と解放感 私、お仕事辞めてきました。
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泣きながら上司に電話「限界です」仕事を辞めても変わらない空
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寂しいと寒いは少し似てるから温い布団で目を閉じねむる
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意図的にこどくを部屋に閉じ込めて やがてしずかにからみつく首
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渋谷ハチ公 あたたかい部屋 微笑まし できれば冬はそのままでいて
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先週は夏の装い今週はダウンの人を見かけ驚く
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