霜枯れの道はあらはになりにけり雪積まぬ間に訪ふ人もがな
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冬とだに時雨れもあへぬ群雲に濡るるは早き老いの袖かな
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キラキラとひかる思い出しまう場所分からないから終われずにいる
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遠くから見たらほとんど変わらない知ってて迷う分岐する今
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音速で 過ぎていくのが 僕たちで スローテンポな 君を眺める
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神さまは とうの昔に いなくって 残像だけが まだここにある
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ひとの世を去ることついにできずただ口遊めるのはただの麦畑
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ねこベッド 猫団子出現の季節かな おみみがよっつ 寝顔はふたつ
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遅刻したが約束通り来た冬がそろそろ本気を出すよと告げる
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いつの間に冬の来ぬらむひとり寝るわが衣手に霜ぞ置きにける
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ひっそりと「ふりかけ」上がるかたわらで「値下げしました」POPが踊る
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雨に沈む薄暗い街にそこだけカラー写真みたいなマリーゴールド
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すばらしく美味しいりんごに当たった日 何かいいことありそうな気が
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この朝に 降るほそき雨 濡れながら 冷気胸に吸い 生き直せしあした
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零れ種助けし夫のルコウ草霜置く朝の窓辺に赤く
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年越しの金は持たずと長男は江戸っ子のよに所持金ゼロに
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ラジオからメリクリソング流れ出し暖房器具も出した月曜
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命乞い などしなくていい この先は 臨月のほとけを 観てからは
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交れず離るることもできぬ月 地球を愛でて恨みながら
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白む空 昇る朝陽に「待った」かけ アベリア揺れる朝帰りの路
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次のフェスどの陣営にしようかと 悩む時間もまた愛おしき
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なに思う創作途中の和人形 髪なく脚なく天井見つむ
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地方にて お国訛りの言葉壁 翻訳アプリで道を尋ねる  
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朝夕に突く鐘の音よく響く除夜の鐘まで間もなくの初冬
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勝者無き 戦幕閉じ平安の 枯山水に春のせせらぎ  
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まぁいいや。どうでもいいとは違うけど武士の情けだ大目に見よう
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欲しいグッズ 案内メールをそっと閉じ クリスマスケーキを吟味する我>予算がね
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ああ今日は素晴らしい日よ 大好きなインクの名前を思い出せたわ
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ラムネ色だった心は昨日今日それぞれの秋冬の貝殻
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怒らない だから真実言ってごらん 都市伝説が怪しい微笑み  
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