学齢の子のおらぬ家 年毎に季節も行事も疎くなりけり
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汗かいた シャツがさほどは臭わなく 鼻も代謝も 老いて逓減
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夏野菜 ここはやっぱりカレーかな サラダを添えようサラダ記念日
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星座は言い掛かりの解釈 僕らもいつかはそれになる灰燼の一粒
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リボベジのお勝手に置く豆苗と今日の天気と暑さ共有す
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フォークからポロンと逃げたミニトマト「刺されてなるか!」と意志あるようで
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ねこのいる家は 薬を落とすとね 一大事なり 必死で捜索
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天の川羊羹 たいそう美しい いつもひっそり 売り場に並ぶ
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熱帯びた 瞳の奥の 青きを 絶やさずゆけよ 星追う青年達ものたち
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人種 家族 国境 国家…etc  全てファンタジー 無垢なこだわり
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終末のラッパ代わりに花開く 夏が来たぞと告げる朝顔
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寝巻かも部屋着もわからぬこの服を寝汗がひどくて朝も着替える
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今日サラダ記念日だって? ふーん、そうなんだ。俺はラーメン食うけど。
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土曜日に ココアを飲んで 夢想する これからの時間 なんでもできると
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自己憐憫に塗れた歌を詠います 憐れむ人は僕だけだから
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助けてと言う人たちを引き寄せて手が痛かったと吐かれゆく日々
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進むべき道を暗く照らしてる矛盾だらけの今を歩いて
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日も長く夜べも誰か遊んでる早く私の夜を返して
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エアコンの温度調整出来ぬままきっと今夏も終わっていくね
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降る雨のせいに出来てた日は過ぎて心刺す陽を言い訳にまた
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2:2にわかれて動く半ドン日昼は子どもの好きに合わせて
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石を蹴りどうにもならない歌うたいどうにかなるさつよがる昭和
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カーナビに教えてもらう記念日に身が引き締まるサラダ記念日
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「今俺は徳をつんでる修行中」言い聞かせてる重たい荷物
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電線と雲居にひかる雷は雨を降らさず黒龍となり
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十代あの頃は思いもせずに傲慢で 大人の時代の長さにため息
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秀でたる奴隷は民主制を厭い強き空語と独裁とを乞ふ
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玄関に 蛍一匹光り居り 夫つまと二人で しばし見入って
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遠かりし十三段目の可能世界 血に飢えた嗤笑 鳴け、鵲よ
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大丈夫かな 聴いてみる こんなときには ポラリスのごと ユーミンの歌
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