庖丁はもっと短くあってほしい 死んじゃいそうで君を刺せない
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一面の山萌葱もえぎふか若草わかくさ 色とりどり緑の花咲く
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葉に落ちる蝶のわずかな身ぶるいにやがて開かれた純白の羽
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驚きて 布団に座した 寝過ごした 外は長閑けし 鳥の囀り
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安物の我が靴すぐに駄目になる日々の買い出しなかなかどうして
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「御祝儀にあんた壱円って書いたあったわ」姉笑う。つられて笑う
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帰り際「ヘルパーさんは呼ばないで」姑の目が二年ぶり燃ゆ
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この時期に「ブラックホークダウン」見ていいものなのかじくじくするぜ
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八重桜  房ごと落ちた  花、拾い  髪に飾りし  娘、甘心
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自身作 短歌ひっさげ あちこちの サイト投稿 流しのごとく
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キッチンに まな板の音 火着くガス 布団に届く 休日の朝
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春告に姉は葉わさび下げて来るガツンと辛い春の一撃 
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OSの バージョンあげれば 不具合の おおくあったぞ うるさい催促
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振り返り吾を確かめて先をゆく従い続く猫の細道
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夕鶴や天女の夫は妻去りし後の年月如何に過ごせり
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寝なさいと何度諭せど横向いて聞く耳持たぬ眠たい私
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電話でも 君の表情 分かるんだ 今日の瞼は 何故腫れてるの
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新卒の無垢がぼろぼろ剥がれただ無能な若者となる近日
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ひらひらと 舞う磯鵯ひよどりに 連れられて この街の空 飛んでみようか
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「ところでさぁ、あれなんだっけ」と さりげなく 喧嘩の後の 一声いっせいを待つ
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箱を描く 前に描かれたたくさんの ひつじを 私はなでてあげたい
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映像は幾つも見たが原作を読んだことない犬神家譚
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空きっ腹 呑む酒身体 ああしんど それはそうとて これが美味しい
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君からのLINEの通知が嬉しくて アイツといるの嫉妬しちゃって
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かなしみが おそってくるような 海がある 砂浜にはだれもいなくて
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わたしたち のあいだには言葉など 存在しない あるのは沈黙 
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藤の花 西東にしひがしから 集まって 我も我もと 風にたなびく
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藤棚の香りに包まれ立ち尽くす人生いちの香りと確信
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気がつくとレターセットを5000円財布のひもがゆるむ旅先
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荷物になるのでフキ・ワラビ・タラ芽天ぷらお腹に入れて持ち帰りますね
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