片思い想って悩み泣いていた そんな幼い自分がいとしい
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「相当の大地主おおじぬしばい」父の言う“大地主”の名は【月極さん】らし
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詰め込んで煮込み揉み込み押し込んで運んでもらってカラッと揚げて
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人類の最終兵器「慣れること」鈍感力はワクチンに勝ち
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鳥たちが薔薇を啄む楽園にわたしときみは必要ないね
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日常のなんてことないひとコマをドラマに変える三十一文字
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輪郭も眉も額の黒子ほくろまで 他人の空似 心乱れて
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夜詠んだ歌と昼詠む歌の差に 我の知らざる内面をみる
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「明日から早起きするぞ」「明日から早起きするぞ」春眠のせい
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帰宅時に急に降り出す大雨は 誰にも望まれてないはず
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枯れゆく躑躅を眺む我が心情 高空の鳥には分かるまい
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たらればを サッと湯通し塩を振り 口に運べば これじゃなかった
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善悪のぜんぶを溶かす前夜祭贅を尽くした前奏曲を
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近ごろは冗句じょうくも言わずうつむきてせめて散りぬる桜は踏まじ
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コーヒーはインスタントで立ち飲みし占いチラ見の朝の戦士は
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五駅間 髪の毛直す 制服の あなたのやる気 少し真似しよ
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歌詠めば昭和の想いよく浮かぶやっぱり若き日々の衝撃
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“作りたい”から“作らねば”に変わった弁当今も美味しいですか?
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かりそめの観覧車ってわかってるけどあまりにも月が赤くて・
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風呂桶と腰手拭いでブッキング 引くに引けない 下宿の風呂場
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無常ともvanitasとも云ふ憂き世なれど皆人眠り飯食み生きる
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「他人のもの盗ってはだめ」にうなずいて今日もつまらぬ私が生きる
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花水木桜の花とみまがうも散りどきひそかに気づかれもせず
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ラディッシュを“ダルビッシュ”だと言い違えほほ赤らめる子ラディッシュの如
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昼休み陽を浴びようと窓辺見る もう満席に 暑くなるのに
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昼食の時間をずらす習慣は コロナ終わるも 続けばいいのに
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深海で交信をする海月から岩に根ざす木へ夢と現実
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寒空を見上ぐる窓に降るあられホットミルクが恋しいはずだ
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ああなんか ことしはカビの おおくはえ けさはパンなし ごはんにウインナ
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やれやれとやりたくないや疲れたや色々込めて「よっこらしょっと」
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