このラオウ 天に還るに 手は借りぬ 我が生涯に 一片の悔いなし!
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生と死のまんなかに立つ病院は 今日もだれかの墓石である
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真実をこの手の内ににぎろうと閉じた指先だれにもふれぬ
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捨てられて こんな惨めで淋しいの 未だ夢かと思ってしまう
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風を呑む 君と朝陽が 語りかける なびく亜麻色 晴れに打たれて
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黒髪と剥がれたネイルを証拠としきみのくびれに溺れ堕ちゆく
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キャッチボール見えなくなるまで父とした 玄関前の夕暮れの道
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銀座から大手町まで地下道をゆく 半月は雲居を照らす
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あの店のかごの小鳥は南国の赤い花々知らずに鳴けり
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塀越しの兵士に宛てた返報は平和の空をヘリウムと飛ぶ
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この道に果てがあるなら教えてよ必ずそこでひき返すから
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組み分けで最後にやっと 指名さる時の気持ちが 動機なのです
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腹すかせ弁当見るのが楽しみで 朝のキッチン避けて出かける
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助かるがお湯を少し流し過ぎ 言えばやらない言えないもどかしさよ
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ぶつかった 反抗期から 十年 貴女の親は 子ガチャ当たり
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あいつにも君にも無いものを持っている僕は君より違いすぎたか
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愛想よく料理も美味いそれなのに離婚するのは何かあったさ
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理屈は良い。語彙力もある。惜しいのは弁護士資格が無いことかしら
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家電いえでんする 彼が必ず 出てくれる やだなぁちょっと 脈アリなんじゃない?
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「また明日」手を振る君の小指から糖度12の夏が溶け出す
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朝日浴び通学している子供たち アチラコチラでちちはは手を振る
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初恋が私だったキミ 初恋があなただったワタシ  キミの気持ち良く分かるよ
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ねたむより他人ひとのしあわせ喜べる そういう人に俺はなりたい
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日めくりのこよみの先にハート描く 電話ひとつで破いて捨てる
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思いつきスマホ取り出しメモをする 急いでいるので5時誤字バカ理ばかりになる
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なんとなく行きたくなったらキップ買い 行けてしまうのが大学生か
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喫茶にてクリームソーダを飲んでいる 溶けゆくアイスに急かされ喉へ
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墓地山に何故群れ集う一面に風に波打つ水仙黄色
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炎上のツイ見て学ぶ疎外論 人は理解の中で生きてる
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得意気に指摘したのに勘違い 慌てふためき火消しに奔る
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