がらがらの商店街の鯖ひとつ閑古鳥から目を背けてる
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来世では石になってもいいなあとおだやかにねむる君みて思う
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四季失せて色を持たない無季の句の ただ一瞬の春に微笑む 
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しゅわわわわ 溶けかけ入浴剤バブが浮いてくる あったまりな、と急かされている
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梅に来る鳥は本当はメジロだと知らず今まで生きてきたんだ
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キイキイと ブレーキ音は 遠のいて コツコツ残る 靴音だけだ
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あなたとは私ではないあなただと身にしみたなら満天の星
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早春の小春日和の心地よさ天気予報は明後日あさってまでだと
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雨ぽつり 今日も出せない 靴ぽつり 寝起き息子の 頬にもぽつり
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パパの声 もう居ないのに…音声のメッセージまた 聞き返してる
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早朝路地裏に咲く桜と梅同時に咲きて春近しかな
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水玉が消えないと笑っていたら僕の瞳に染み付いていた
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由緒ある竜の子孫の鳥と亀 方や喋りて方や黙して
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声帯を持たない亀も鳥のよに囀ることができれば何を
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きみは舞う崩れ始めたステージのさいごの幕が燃え落ちるまで
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本日の気分晴れのち交響曲シンフォニー、ときどきDJ大根おろし
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開幕戦 勝利の余韻と心地良い疲れに溶ける街の夜景 /帰りの電車にて
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逝きたいと 虚空を見つめ 願う目覚めあさ
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幸薄き 定めの中の 幸せな 数は少なき 思い出集め
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白鷺よ 優雅に川を 練り歩く 早春はるの川辺は ランウェイなり
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乗り換えで面影探す無意識がやになっちゃうねもうすぐ春だ
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明日思い 出るはため息 膿む傷の 流るる 血膿 たまりゆくのみ
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夜な夜なの 泣きたき心 泪枯れ 苦しさだけが 溢れかえれリ
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真夜中に ふと目が覚めて 思ふのは 今なら逝ける 迷うことなく
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生まれたく なきて耐えたり 我が定め 歳重ねては 最期おわりを望む
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雲ひとつ 無いあおぞらの 風情なき
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見惚れるは 星屑詰めた 金平糖 伸ばす手止める 我が身の脂
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立春の 川辺に集う 桜守
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寒き日々 安否気になる 地域猫
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赤き実の豊かなる枝にひよどりら集いて遊ぶあした楽しも
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