文月と共に目覚むる百日紅サルスベリ 百日の間の夏のはじまり
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初夏夕日一人バッドを振り回しホームラン打つ架空の球場
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この人が傷つくことのないように 皺を見つめて漆喰を塗る
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チベットや太平洋の高気圧 お願いだから張り出さないで
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織姫や彦星も又暑すぎて アラート中は会えずじまいに
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七夕の短冊に記す願いとは 記録更新の夏になるな
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「ありえないことなんてない」が口癖の雌鹿が今朝撃たれて死んだ
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濡れた空ふと思い出す君と見た 花の香りし桃の夕焼け
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愛し方なんてひとつじゃないんだよ 息づくものを止められなくて
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家族すら持たぬ女はさびしくて人恋しさに人をながめる
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人の波をイートインからながめつつ食べるおにぎり格別な味
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もし僕が溶けたら地表を染み出してマントルと抱擁を交わそう
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漁火に まなざしだけを 向けながら そっと心は さざ波のなか
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不審者とみられてるかもしれないがイオンの中の散歩快適
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音もなく降り積もりゆく悲しみで 尖った喜びから身を守るよ
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あの人が妻の肩揉みする時は女性すべてが健やかなれと
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「時々はLINEくらい見てほしい」 妻への願い 喉までとする
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山の井のむすぶ雫に濁りてはまた澄みかへる底の月影
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ヒトは健康であればあるほど傲慢になる 神になることの難しさよ
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安らかな寝顔の呼吸を確かめつ 不安癖がずっと抜けない
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先日の 貴方の肩に身を寄せて ただただ静かに 泣いてあげたい
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あああああ あああああああ あああああ 扇風機前 声出す我が子
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母を診る訪問歯科医は腕がいい 母とのやりとり見てると和む
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目の前でみみずゲットの小鳥ちゃん無事に運べと離陸待ちナウ
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みんなして 蝶よ花よと 愛でてくれ 蛾だわ 嫌だわ と嫌わないで
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力無く 主体性欠き ただ風に 飛ばされるよう 蝶は鏡か
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外れなくなって困った 最初から付けてた仮面だったからかな
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文月の覚悟のほどがうかがわれ長期戦の酷暑続きて
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教頭は成績のいい子に優しくて休職上がりの教師に冷たい
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子燕が青田の空を旋回す 巣立ちできたか文月二日
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