呼び捨てで 呼ぶ君の名の 愛おしさ  やっと伝えし 物語の完結
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殺したい 仕事に社会 夢 未来 意味などないと 知ってなおさら
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保険証の二割負担の逓減にありがたくあり寂しくもあり
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ありがたくも医療保険証をよく見れば三割負担が二割に減りぬ
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終わらない夜に響くは耳元の脈を打つただ一つの心音
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「好き」だとか「愛してる」とか伝えても、伝わらないから言うのをやめた
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根っこから処理をしないとまた生える 庭の草とか希死念慮とか
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俺を焼くほどにまぶしい太陽がクソくだらねえギャグを、となりで
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ボサボサに伸びた君の髪の毛が 大木凡人と同じに見えて
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恋愛をする気があるなら手の内も腹の中すら曝け出せ夏
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いいように他人を消費する君に 小言して私 とうとう姉ね
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文末の笑で守ったプライドの見窄らしさが目をそらさせた
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君の骨、ほくろをなぞる 初恋は時を越えて今叶う
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転んでも死ななかったね転んでもただで起きてはつまらないだろう
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車無く転んで怪我した妻のこと笑うのだろう別れたひと
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丁寧にマキロン吹いて手当するガーゼもテープも百均だけど
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目覚めれば傷の手当がスリリングガーゼと傷が剝がれる瞬間
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全身を打撲した後ぐうぐうと眠るそうです目覚めて食べる
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現実に背を向け気づく本の山確かに生きたこれまでを知る
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同じ月見ている君が考えていること分からず ひとりかも寝む
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目の前に立つ現実の方向かず少し斜めの後ろ見てみる
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深淵を覗く時 君も深淵を覗いていたら嬉しい
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息を止めないよう注意してあと一回止まったら向こう側行き
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ぽさぽさのトウモロコシの髭を持ち遊ぶ季節の青い惑星
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まんまるのドーナツ持って夢中だね瞳に土星輝く子象
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目を瞑りほんとうだけを思い出す瞼の裏に夏の田園
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眠れない潰す頭を低気圧わかんなくなる痛みと今夜
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石をどけ身体晒さずいることの軟弱とする宇宙人たち
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光一っちゃんこういっちゃん 美味しいものを食べていた 我まで幸せ ファンとは、そゆもの
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死んだ熱帯魚を掬い上げ泣いた アパートのした午前2時の影 魂はきっとファンタジーかどこか
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