ひるからは ベッドでぴったりよりそって 君たち 双子のニャンコのようね
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これ以上 下がらぬ気がする 298ニーキュッパ 春キャベツ そっと明日のメモに
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氷河溶けフィヨルドに注ぐ水の音 どこかで聞いたせつないメロディ
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あれこれと 弟の声 騒がしい 離れて気づく 無いと寂しい
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悲壮感被害者意識に酔いしれて 安全弱者の高み見物
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あの頃は遠くに見えた青い空  今は窓辺に狭く切り取る
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イヤホンの音量上げて誓う朝だれかの言葉に負けないように
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先輩の訃報が続き愕として 具体性帯ぶ己の黄泉路
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変わりなく身は独りでも魂を孤立させては愛の芽出ない
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群青ぐんじょうの そらしゃを引く 白き雲 君のまといし 羽衣はごろも
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さよならを言い切る前に目の奥の星が砕けて流れて消えた
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吹き抜ける北北西の風街灯に 小雪うつって消えておや猫
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あのころは私の前で僕だったきみがあの子の前で言う俺
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わたくしが原点Oを出発しあなたに重なる時間求めよ
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悲の斜面見る人も無し黄昏の世の片隅の幸福論かな
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義姉からの蘭展の絵は色冴えて白一色しろひといろの私のもとへ
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痛ましい悲愴な顔のエイリアン人の世恥じて身をすくめおる
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凍える手温度が溶けた昼時は笑った君が包んでくれた
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白い息霧みたいに消え震えてて朧月だけ僕を見ている
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寒さ増し川原に集う野鳥にもヒタヒタ寄せるインフレの波
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下山後のランチの宴にぎやかにパンと珈琲セキレイも参加
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鍵盤の上ぎこちなく踊る指 練習サボった日々悔やみつつ /ピアノ
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「唇」を「ちくびる」と言うその声を屋根裏部屋にそっと閉まって
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桃色に きみのお耳は 透き通り ただ静寂を 抱きしめている
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顕わなる侮蔑混じりの憐憫に うんざりしたのもう疲れたの
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おとなしい良い子だったな 幼顔おさながお 思い出したり やっくん、安らかに‥
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「かわいそう」言うだけ言って去って行く 邪魔せずにすらいられないのか
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靴下を左右逆さに履いている ちょっと無理な僕 大丈夫な君
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トイレットペーパー 2センチ残してる 骨は拾うが 生焼けかもな
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怒りからくる涙ごと消し去って ここには誰もいませんでした
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