菜の花を分けて続きし農道に降りて止みての雨の冷たし
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冬籠り 啓蟄過ぎし虫たちも 寒さ緩まず巣穴に戻る 
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「おそすぎて…」と妻ぼやきゐしパソコンをリナックスにて蘇らせたり
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「雛人形 急いで片付けなくていい。」嫁ぐ気の無い吾子の迷言
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恋歌を何故か白々感じるは 歳のせいかな素直さ足りぬ
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君のこと プラネタリウムに誘うため 宇宙が後に できたらしいな
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悩めるショートスリーパー午前二時 ネットでググるくだらないこと
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これからは独りで生きて行く覚悟 娘よ早く独り立ちせよ
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嚥下障害子らにも旬の味わいを「あったらいいな」形は春に
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なんだっけ 知ってるけれど 出てこない 考えてると それすら忘れ
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いつの日か痩せなさいって強く言うそう言う人をずっと待ってた
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誰ひとり触れる事すら出来ずいた『太り過ぎだよ、痩せよう!』が来た
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『糖分で体は錆びて行きます』とシュガーホリックまじまじと読む
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「動けたら何をやりたい?」真っ先に部屋の掃除と家具の移動だ
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まばたきの先 またたくく星の囁きを 雪夜の月を通して詠う
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痛いのは飛んでくもんだ歩けずにテニスボールを回す足裏
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痩せすぎて「増やしなさい」は優しくてデブに「痩せて」はとても厳しい
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きらめいた瞳の形まんまるであなたの好きなパンケーキみたい
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この生の辻褄合わせを求めれば 善と悪とは有耶無耶すぎて
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目を閉じてこのまま朝が来なくとも 冷たい頬は冷たいままで
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手荷物を持ちかえて差し伸べられた指先をつつみ込んでお別れ
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言いかけた「ずっと一緒」のずっとって 永遠なのかなやっぱり無理かも
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一日じゅう昼の香りがただよって生きていられる気がしたよ、春
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遠くからでも分かるひと太陽は遠くにあってこそあたたかい
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冷たいが先に来ていた町を出て知った底冷え、ゲームスタート。
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梅の花やっと咲かせた老木を労うようにホトケノザ咲く
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ねぇ君と食べたあの日のクレープの重たさだけが手の中にいる
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タカトシのタカが着ているライオンちゃん キティちゃんより好きかもしれない
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夕飯は私の好きなものばかり受験前夜の母の励まし/題『前』
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オリオンがこんな時間に高くいて春はもうすぐ春はもうすぐ/題『春』
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