頑張れユン 弾劾受けてもこうべ上げ 狂気の国の南進抑えよ
7
二度寝した その日の夢に 見えたのは 自分とそっくり そんな子の話
8
豆苗の水替えお世話お楽しみ 根のひげのびて二度目の収穫
15
無音の暖 冬のしじまを妨げぬ 古ストーヴの青い炎は
14
声をだし 聞こえてるふり 思い出に いつまでひきずる 優しい時間
9
苦行との対比さぞかし珍妙でメリーベリーのフラペチーノ
8
寒天に太り始めた月明かり 放水路の凪しらじら照らし
12
がふがふと京葉道路の午後五時は 上り下りの火車の咆哮
8
翅をピンでとめるように丁寧にあなたの影を踏んで歩いた
16
何もかも 空に帰ると 知りながら 君の全てに 一喜一憂
15
あれっきりLINEは既読にならない 波打ち際にボタンがひとつ
14
チビ猫は おといれの おすなお砂 かけるのが とってもへたっぴ ちがうとこカキカキ
12
桃色の スニーカーを買う 母の目は 少女のようで 愛おしくなる
28
飲み込んだ長いしっぽの先端で目が合う私の知らない私
6
半割れのシーメノウひとつ透かし見てbetter halfはさて何処にあらん
5
攪拌し、掬って、濾して、削ぎ落とし、祈りが残る、元気でいてね
11
腹すいた母恋しやと泣く赤子 親も名も無く有るは障がい/とある男性②
12
終戦の吉祥寺駅 路上には泣き声あげる赤子がひとり/とある男性①
11
ねこ母は アレできぬよねと 小さき手 じつと眺める ドライヤー・2個持ちダブル
9
あの女性ひとがいいなといつも 思っても 指名はできぬ美容院なり
14
両足が直立したがっているのカプセルホテルで目覚めるたび
16
雨降らず二十日も続けて雨降らず散歩をさぼる口実もなく
17
憧れた若き頃の沢田研二「女神」はまこと美しかった
13
唐揚げと天ぷら蕎麦とミニカレー食べ納めする大学病院
12
唐突に補強のためとレーザーを打つて左目卒業となり
8
腕組んで今年一年振り返るいろいろあつて足元の冷え
7
幼子の泣き声こそはかなしくて締め付けられる師走のロビー
9
待ち人の間を抜ける看護師のポニーテールはふわりと揺れて
15
下腹に力を込めて見開いてまばたきをせずこれが最後と
7
この店は学生時代好きだつた人と来た店夕暮れの窓
10