サザンカが並んで咲いた通勤路眺めて通り胸温まる
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神代では冬至が年の初めなりき。さすれば今日は大晦日おほつごもり
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かたい雪踏みしめながら子と歩く未来の香りコンビニコーヒー
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喧嘩して割いた写真は今どこにごめん母さんごめんさみしい
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歳重ね 指輪に傷が入っても マックを食べる 夫婦でいようよ
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ぼくと居て きみは幸せなのかなって 思い続けて 明日で五年
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人類が ジグソーパズルの ピースなら 不要な人は 一人もいない
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一折のシャコを求めて帰り路祈りに等しいシャコの重さよ
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ぽかぽかの炬燵に足を突っ込んで食べる至福の雪見だいふく
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雪が降る時には音がするのかな知らないからさ教えて欲しい
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朝までにきみの大事なぬいぐるみ歌えるように魔法をかける
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風邪引いてこの世の全てが気持ち悪い弱さ故のデストルドー
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棚の前、今日は任せた9%  美味くはないが救いにはなる
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生きていていい理由を探し続けてまでこの先を生きたくない
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母親の隣りで眠るとき思う 学生時代の暴れっぷりを
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ここにいるずっといるのに見えないのすり抜ける視線ルビンが笑う
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帰宅せば眼鏡真白ましろになるつまぬくめんと待つ柚子湯の香り
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驚きねお肉の皮を剥けばほらアップルジャムがこぼれたわ
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午前二時 電子粒子が熱狂する快楽主義のネットワールド
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白息を煙草のようにくゆらせる銀幕スターの仕草を真似て
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コロナ禍は明けたはずだが孫来ない 令和六年じいばあ卒業
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朝起きて 昼飯食べて 夜眠る 悠々自適 くっちゃねの
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休み時間なんか食べてるサッカー部いいなあいつらは太らなくて
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梅の花咲く頃君と会えるねと指折り数え今日を生き抜く
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切なくて眠れぬ夜は思い出を揺りかごにして少しまどろむ
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カーテンを開ける係を任せたら「メイドじゃない」とまさかの返答
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友と食う六百円の定食が今年一番僕のごちそう
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雪道に埋まるタイヤにモフモフの袖を突っ込む聖夜の彼女
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あきらめて 閉じた瞳に 燃えている 野心を隠す 雪よ降れ降れ
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目の前の 利益だけしか 頭にない そんなヤツほど 未来を語る
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