爺ちゃんが「これ好きだべや、頑張れよ」と送ってくれる葡萄が好きだ
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それぞれの舞台で足掻き這いまわり束の間交わす同期は宝
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夕暮れの 空にコウモリ 飛び交ひて 幼き頃の 風景思ふ
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そんなことしか言えないのかその口はたまには私を可愛いと言え
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政権を交代させたことがある市民でいたい せっかくなので
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もしかして狐か狸に化かされた どんぐり食べて下し腹かも
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生か死か定められない打ち潮に魔女はひとたび夢から醒めて
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「一般のメシ付きおやじ」の俺だけど そりゃぼへさん楽しかったぜ
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サシ飲みの暴酒のツケで下し腹 今日は一日おとなしくして
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月見そば。「美味そうだね!」 目を合わす。黒縁メガネに、映る黄身
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我が子ほど歳の離れた手弱女と 昨夜はサシ飲みほんとの話
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母親が何故か漢方詳しくて五積散とか試してみろよと
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下し腹 詰まり腹より心地よし 昨夜の暴酒 水に流して
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新米が いつも以上に ありがたく 農家の方に 頭を垂れる
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犬好きの祖母が生前よく言えり 犬の仔ぉより人の児ぉ とな
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またあしたを紡いだ指で死にたいと綴る矛盾は見ないふりする
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五個あれば星になるピースのうちの片手だけを出してる人みたいにさみしい
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恆星のごとき朱色のベゴニアの金曜オフィスに獨り立てる夜
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ぼろぼろの、子供用チャリ 跨って。古き記憶が、ペダル漕ぎ出す。
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思ひ出の欠片集めて人ひと生きる 優しさ貰ひて勇気貰ひて
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手に取りて母と一緒に編むように かぎ針の先 生まれるモチーフ
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幼き日 大人に混じりひたむきに手編み習ひぬ 母の教室
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パソコンのバックアップが飛んでって十代の日々天に還った
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正気でいよう正気でいたいばかり繰り返しまた月曜が来る
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国道の 何時いつも見ている 道しるべ 「前に進め!」と 照らす絹路きぬみち
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クッキーを焼いた匂いを嗅ぐような幸せに落つ夢のほとりで
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秋色のオーケストラは不協和の喜劇と悲劇混じり奏でる
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久々にお湯割り作るが熱すぎて仕方ないやと焼酎を足す
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微熱あるわ そろそろ飲むのもやめとこか 今夜は鍋を解禁とせむ(あっためるぞー)
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誘っても断られること多くなり 土日に増える父の留守番
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