わさび田の近く湧く水飲めるらし地中の清冷ボトルに満たす
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ここにいるみんな生きて電車に乗れて 普通にすごい。
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みたくないものが日に日に増えていくたとえば君の薬指とか
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ピーナッツバターを直接舐めるようなそんな雑さで死ぬまで生きる
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朝ぼらけ無意味に命を削っては夢に夢見て夢見る夜明け
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早苗田の 黄金こんじき色の水鏡 朝日を浴びてツバクラメ飛ぶ 
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初夏の茄子 煮浸しにして 薬味乗せ 届けし友の 愛情も乗せ
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村上へ藻塩を買いに彼と行くモナカどら焼き大人の遠足
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地獄には なにがあるかわかりませんね  あなたは いない でしょうけど
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三代目ぽちは 初代のぽちよりも 飯をよく食べよく遊ぶ
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不要不急 それこそだいじだったこと もうね、不要にでかけていいよ
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帰宅せば みかんの花は ほぼ散りて 気持ちはまるで 浦島太郎
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本当は 言わなきゃいけない事もっと あるはずなのに ありがとうだけ
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天井と年収の壁壊そうと女たちはフェミに武装す
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ありがちな 言葉だけしか出ないけど 君といられて幸せでした
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今頃は もう着いたかな 弾むよに 駆け抜けてって 虹の向こうに
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合法なうば捨て山と例えられ老人ホームで笑ううばたち
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家の戸を 閉ざし守ると 決めた人 窓に背を向け 中のみぞ見る
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「またいつか」 駅のホームで 手を握る 皺深き人の 別れの切なさ
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北からの 汽車を乗り継ぎ 来た友よ 綻ぶ祖母の 頬は染まり
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感情を誰かにわかってほしかった。剪定してたら枯れてしまった。
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晴れか雨 1日のうち 何回も 天気予報に ふりまわされる
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値上がりの米の値下がる気配なしどうにもならず音を上げる吾
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リキュールをワインで割ったカクテルを 3杯飲んでも そこそこ素面シラフ
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月がきれい 送る相手もいないから 月も見ないで猫と眠る
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揺れますと 言われて思想も この先左に傾いて あ 落ちる
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孫が来てお礼を言われ嬉かり、ずっとこの時が止まっていてほしい
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早十年 あの人見かけ 最後なる 目見えも途絶え 縁はなきしか
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あの人が 撮りし写真は この時期の 神田祭に 臨む姿よ
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子どもの日 乳母車にて 座りし子 見た目五歳の 拘束具なり
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