どす黒くざらりと粗い喉越しの憎しみに似た何かをごくり
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桃の日に笑って写真撮る姿こんな日常続きますよに
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里からの玉ねぎ吊るす部屋ありて母の思いが窓いっぱいに
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電線で震うカラスに同情す 傘を忘れて 濡れそぼる春 
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真っ白な君を頼りに咲き乱る灰雪はいゆきまばらに憧憬を付す
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ポッカリと我の心にあいた穴 春風吹き抜け淋しさつの
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淋しさの居場所は今しがた降る誰もが感じる雪の儚さ
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君の名が ついたお節句 ひな祭り 昔の写真 何度も眺め
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我が輩は棒鱈よりもカスベよし五十集屋いさばやなければ何処でかうらん
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一条の 光りは蜘蛛の 糸なのか くうを掴んだ まだ娑婆だった
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聞いたこと まとめてみたら ニュアンスが 言葉と文字の ふしぎな違い
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雨音が止んだとカーテン開けたなら窓の外にはなごり雪降り
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過去帳に今も仲良く並んでる祖母の命日祖父の翌日
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祖母の「好き」可愛いものとおじいちゃん 祖母の命日三月三日
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磨かれし息子を支えた靴の減りそろそろしおどきお疲れ様よ
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一国の大統領を挑発しテレビに晒すホワイトハウス
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暖房を頼るほどではないけれど寒さが残る弥生のはじめ
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笑顔見て心温かくなれること敬宮様に教えられし春
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冴返さえかえる 三月迎え 早三日 新芽も花も 雨に冷やされ/冴返る=寒さの戻る春
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酢飯なら食べれるかもねと ひなちらし チラシ眺むる(ねこ母が)作るとショボい
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焦っても仕方がないか ゆるく行こ 自分のペースで 一歩ずつでも
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昨日一昨日 1℃下げたるエアコンを 今日は戻せり ねこも寒いね
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スズメさん雨宿りにきたベランダを ねこ とびおきてガン見している
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帷降り 風に抱かれた 月の下 荒れた世界で ただ我独り
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寒椿 積もる白雪 美しけれど 寂しさ勝る 如月のこと
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もったいないこんなにぬくい今日よりも買い出しの眼は明日あした寒雨かんう
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足跡が梅の花弁に似ていると 白い仔猫に「うめ」と名付ける
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葬儀終えあるじなき庭眺めむれば咲いたばかりの水仙哀れ
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花魁おいらん遊行女婦うかれめさえもいにしえは差別をしない日本の文化
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秋冬の愛し人去り泣きうるも春が始まり桜ほころぶ
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