鈴なりの珊瑚の色のさくらんぼ頬張り奏でる初夏の音色を
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「適温」をこえてはいけない僕達はそれ以上でもそれ以下でもなく
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この曲を 好きだと君に聞いてから 集中できない ギターソロの間
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嫌いでは なかった彼の香水が 開いた襟から 香る前まで
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ことのはの嵐に倦みて偲ばるるいつでも青くたひらかな凪
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今日はもう早く寝るよと決意して気付けばまたも明日が目の前
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靴下を履かずに裸足で過ごす日の陽の温かさ布の毛羽立ち
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枝纏う雲居の先の光めざしコローは筆を隠して歩く
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言語化し アンダーライン引いたなら それで崩れるような気がして
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にくしみがにくしみを生む世をさけて肉じやがをにるなつのゆふぐれ
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今日言おう、今日言おう。って「好きです。」がリフレインする5時間目、理科
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恋などは自分勝手に作動して気づかないうちに制御不可能
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どこからか 声が響いて 目を開ける 白く汚れた 集合団地で
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午後0時 工具散らばる作業場の新人の背にうつくしい染み
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病院の塔の上から母カラス「カーカー頑張れ負けないでね」
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新しい服を着てみたほら君に一番先に会いたくなった
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恋の愛 友の愛 などあるけれど 相互フォローの愛 はあるのか
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玄関に彼女の傘がない朝の雨のしずくに感情はなく
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布一枚ヴェイルに包まれ朝つをおごそかに待つうめぼしおにぎり
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パンプスで濡れた道路にりの花びらよけてひとり帰る
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朝早く君と話せる悦びと我が失言が空気淀ます
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眼の前の事を細かく俯瞰ふかんして今ある僕達壊さぬように
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俳句詠むあなたの一句聞いて今一首詠みます想いを込めて
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静寂な独りの夜に響く鼓動 慰めるようとくんとくんと
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そうですか貴方の世間はどれですか?私のはその白い花です
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感情を犯されがちな僕たちにまだ早すぎたインターネット
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雨の日にこそ知る風景 嫌なニュース その日の午後に会えてよかった
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幾億の人々の群れ君という奇跡に出会う銀河の掟
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離れたら体内温度は下がりゆく私の肌は清く正しく
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混じりあう視線の先に講義後の約束交わす君と僕かな
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