オニユリのコサージュをして街へ出る誰も心臓撃ち抜かないで
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うずまきのキャンディーかじる白い歯はいつか入れ歯になるのだろうか
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難波江の蘆のかりねの夢のあと天を摩す墓碑ひしめき立つも
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「ほしくない?」少女が指をひっかけるビーチサンダル海ははるかに
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いつの世もやる方のない牡たちは「しょうがないにゃあ……いいよ」をさがす
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すこんすとん気持ちもよく腑に落ちたので あいつおどれは勝手に滅びるが
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ことばなどおぼえなければよかつたな薔薇咲きほこる庭にたたずむ
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死出の旅いつか必ずゆく道を そんなに恐れてどう生きるのか
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遠景の少年の曳くくるまより白線いづる夏のグラウンド
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感情の延焼はなお人を灼きはるか燎原WWW.ワールドスリー
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きみを抱くよるのしじまにカーテンのふはりとうごく風はらみつつ
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人生に刺激が欲しいもんだから日々にルビふり偶然うんめいと読む
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ひとりでも生きてゆける我ら故 たまにつどいて風に揺られて
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わがこころ千千にみだれてくすのきのなみきをゆけばあはき樟の香
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帰り路に 地虫の鳴きぬ か細けき声 沁み入りし 春夏の速水に
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公園の日射しのなかで 99.99フォーナイン 血液巡り満ちゆく黄色
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かずしれぬつぼみほころぶあぢさゐのつゆわすれずよひとのおもかげ
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お前にもおれにも星はただ遠く 何もする気の起きない夜だ
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夏になり脱ぎ捨てるものあるかしら老いた身体は裸になれない
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本当におれを大事と思うなら 何も告げずにただ去ってくれ
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ささやかな幸せちょっとした不安それこそがこの世界の全て
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鈴ならば玲瓏と鳴りいださまし風にゆらるるヂギタリスのはな
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なじみなき香りまとへるをとめごの日々とほざかるはつなつの距離
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人間の心なんかは単純だなんてのたまう本が嫌いだ
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空間のすべてを私が握るときそれは世界をつくる前触れ
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大切に思っていたのは我だけか 十年の信頼するりと彼方へ
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いつからか君が自分を呼ぶときに「僕」から「私」へ変わった不思議
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人型のため息達が釜の中 「次は叫喚 出口は左」
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引つ詰めた 髪にスーツに 黒鞄 隠したきこと  額になきか
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赤いひとと 碧いひとの 臨終を  指折り数ふる 横断信号
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