どんぐりコロ助
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耳ふさぎ見上げた空に雷鳴を忘れた光だけがまたたく
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十五夜のながい列車は永遠を空に浮かべて胴をめぐらせる
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暮れていく紫色にぼたもちのような野良猫の影が落ちてる
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なぜだろう畳のうえで眠るたびあの世みたいな夢をみるのは
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雨垂れがキン・コン・カンと打ち鳴らす観音びらきのおれの肋骨
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さみしさはあなたの頬をつたわってだれもしらないうみの面を打つ
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伏臥位ふくがいは有鱗目のエソロジー イグアナ亜目オオトノゴモリ
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お月さん いっそう青く 輝いて 凍って落ちた ぽちゃん へか へか
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干き潮の浜辺にひとつ転がった頭蓋のうらで跳ねまわる小魚いお
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おっぱいはくちずさむもの口笛を吹くようにして風に散らすもの
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みぞおちの窪みに溜まる泥水を濯いでいけよやまぬ雨なら
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この岸辺、この角部屋に打ち寄りぬ椰子の実ひとつ抱いて寝転ぶ
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ジャンパーに春の夜風を孕ませてペダルを回すムササビのきみ
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水平と垂直線の交わりを刺し貫いて都市の西日は
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たのしみは先祖がえりを夢にみて犬の眠りを眠るひととき
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泣きやめば夜明けのそらに星ひとつ睫毛のさきからやがて眠くなる
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陽だまりにひときわ黒くある影はどれほど高い空から落ちてきた
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はじめての孤独を告げるまだ暗い午前の居間は青に充たされて
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颯颯と月明かり照らす広大な野っぱらを跳べ!グラスホッパー
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なにをそう我慢することがあるのだと身じろぎもせぬ影に問えども
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沈む陽にそのへんにある石ころや土くれでさえかけがえのない
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一晩で、ずいぶん形、変わったな。蛹のままで、居てくれよそこに
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迷いなき筆先はメスの鋭さで白いはだえに青い血を引きつ
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真夜中の公園の隅の草むらに大海嘯のざわめきはあり
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風落ちぬ 漂流物の一団が 海と空との切れ目から 来る
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道草を踏みにし陰のダンゴムシつと丸まりて転びゆくなり
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四肢をて野をひた走る夜明け前 黒いほどにも青くありたい
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性欲と滅却欲の谷あいの真っ暗闇に灯る光は
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幼子の先史時代pre-historyの足形はいまも地上の裏側を蹴って
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小魚は凛として泳げ惑乱が臍の裏側を渦巻く底に
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