甘森太一  フォロー 0 フォロワー 2 投稿数 24

まだ好きな北風だったポケットに手を突っ込めば君の温もり 

悲しみもないまぜにして灰色の雲よかみなり雲になるのだ 

本当のわたくしを知るぬばたまの夜の楽天市場のパンダ 

おふくろさま、なんとか笑みを絶やさずに生きているのでご心配なく。 

輪郭を縁取る塗り絵 わたくしはもうはみ出したこともできない 

病室にさやさや揺れる千羽鶴 春の匂いのする方を向く 

こんなやつ初めて見たぜという顔の犬に見られてもう二十分 

タンクレストイレで出来たスペースのようなゆとりの人生でいい 

満月のような光に飛び込んだ級友だけを思い出す夜 

ブレーキのほとんど効かない自転車で下るみたいな恋だってする 

初デートに富士急ハイランドのきっと心尽くしとしての絶叫 

ねえセクシャルバイオレットNo.1 あなたの夢にいっちょ噛ませて 

階段の子らの足音軽くなる五線譜跳ねる音符のように 

「きりつ、れい、ちゃくせき、おはよーございます」とりどり光を湛える蕾 

〈おしとやかマシーン〉か私 会議中なにも言わずに微笑んでいて 

山盛りのポテトは萎びて薄暗い実家の風呂場になめくじ二匹 

短歌では嘘もつくけど短歌には嘘をつかない 愛されもしたい 

大みそか荷台にソリとトナカイを載せて北へと向かうトラック 

バンクシーバンクシー子の手の銃を花へと変えに空に飛んでけ 

玉手箱開けるみたいに世界地図破れば過去に置き去りの壁 

すり切って一合分の米を取る 敗者復活戦はまだある 

神様の機嫌ひとつで白地図を塗りつぶすごと災害が来る 

天使にも輪っかのあればこの子らも死んでいたのか武器を片手に 

裸ではないとばかりの釦ありジンジャーブレッドマン笑いたり