もみぢ葉のいかだにのつて竜田姫去りゆく秋の川風さむき
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立冬の暦は長いトンネル その一瞬に一人囚われて
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あの山に響く列車の通過音 ノスタルジーを置き去りにして
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地震さえ怯まぬ安堵覚えたりマクドナルドの人の気配に
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壁に向かい母にLINEするその隙間抜けた男が仲間と笑う
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‪行いは返ってくるぞきみが投げたタバコがきみの未来の姿‬
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繰り返し振り返るだろう日のこと 誓い近い 距離 繰り返す 今日のこと
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薄めても薄めても苦い珈琲は 遠く別れたあなたへの味
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肉球をさわってみたい絶対にさわられたくない猫のまなざし
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凍え死ぬ温度を冬と呼ぶのなら私は何遍死ねばいいので
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あの人とおんなじ歌を聴く君に歌ってほしい似てない声で
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‪私から離れた人が幸せになっていくから離れてあげる
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妖月を見上げる息の白白と溶けゆく宵の寒さよろしう
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つねならぬ日々に抱けるうたかたの一つひとつを留めむと詠む
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あなたにもきっといいことがありますだってやさしくしてくれたから
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‪赤と青かわる信号目の端で見ながら書いた署名揺れてた‬
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イヤリング着けている日は電車待つ駅のホームで割り込まれない
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にほへども散りそめにけり初冬のいろはもみじは風のまにまに
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社会的意義を棄てつつ詩情だけ読みあげている朝のレイディオ
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嫌なと 嫌なことばの 愚痴電話 それでもあなたの声が聞こえて
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ささめきて ひらり と舞える言の葉に 込めしたましい きらり と光る
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サスペンス 見終わったあとの オムライス ケチャップの赤 どおりでリアル
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哀しみを紡ぎほどきて 澄みわたし 見上ぐる空に星はまたたく
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約束(永遠ではない)を待ちすぎてひかりになってしまったうさぎ
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いい歳の猫よなぜ鳴く 寂しいか、子猫のような声を出すほど
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十九年くるみパンオブザイヤーはファミマのやつで決定っすね
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声揺れし求む心の独り言 消えてなくなれ我が無の場所に
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しろたえの雪かとぞ見る霜さゆるあしたの庭ににほふ白薔薇
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誰となく愛恋すれど人はなく 示し合わせた文字の慰み
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誰がためか 思ひ及ばぬ 彼がために 纏ふ馨りを風な散らしそ
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