空Pが残暑に放つ熱風がビル風に解けてゆくのでした
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涼みゆく喉元を 過ぎ ゆく常温の 水さえも ともに秋を恋う
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冬も葉を落とさざる樟傍らのわが残生にさやぎ翳らう
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クリームがあふれんばかりに食むシューの柔さを指が忘れていった
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別々の部屋で先輩は練習し同じテンポのメトロノーム
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食べたがってたもの何だっけ 粘土は欲しがってたラインの上流
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分け合わなかった夏を同じ数持つ身体ふたつぬるま湯に埋め
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ほぼ顔な君の眼鏡は修理中 給気ポンプも停めといたげる
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夜が明けるまえの青さを知るひとと世界の終わりの話がしたい
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月の夜をまあるくゆびで掲げたら横向きのウサギが耳みっつ
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詠もうかな アプリ起動後 筆進まず 最近感情 起動させてた?
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帰宅してあづいよ溶けると言いながら野菜を横目に惣菜を出す
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眼差しの温度を測り記録して 君に提出してあげようか
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沈んでく とろりと黒い感情に他人ひとは嫉妬と名前をつけた
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俺の指なんですよ、今、めくられるだけのあなたをめくつてるのは
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人間も 地球で見れば パラサイト そろそろマグマ 吐き出しそうだ
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今チャンス 見つめ直そう 人生を これまでのこと これからのこと
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「サウナだな」マスクも付けてこの暑さ外は、カゲロウ私は、アイス
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流れ星大きな網で捕まえてたくさん願い叶えたまえ
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一点を猫が見つめるその先にただ空白があるばかり成り
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目の傷が痛々しい戦あと猫の世界は、争いばかり
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息継ぎを忘れてぼくの心臓に名前があれば今、呼んだのに
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帰宅路のぼやけた文字がいちにちの格闘を教えてくれている
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命賭す 覚悟でいたが 如何せん 神にはお気に召さないようだ
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ぼくたちはすれ違いつづけるだろう0と1とを掲げたままで
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押し込んだ鞄の中で膨らんで溢れ出してるレースの日傘
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隣席の患者の所作にいらつくも医大待合いつもの如し
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蔦ごとく腕にチューブが絡まりつ華は咲かねど紅は血の色
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サンダルの踵の減りが物語る 尽くした日々は夕焼け色さ
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叔母と母いつの間にやら祖母に似て私もいつかあの顔になる
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