夏野なつの牡鹿をじかつのつかやすまず世人よひと思兼神おもひかねのかみ
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触れぬ間に大きくなった君の顔 でも耳たぶには産毛が残る
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どう思う長生きしたいの犬の君尻尾を振って明日は知らない
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ごめんねを言っても言っても言い足りず許しを乞うのに飽きてきた感
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春の馬 未来のあなたが翔る空 今頃君は眺めてるかな
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さよならトランキライザーあしたから夜のにおいを忘れて生きる
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乳白の 双丘に生る 汝が苺 甘さに酔へり いとしさに酔へり
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げた箱で静かに眠るハイヒール 頑張る私をいつか照らして
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水を蹴り青にひたした君の足ゆらぐ境を永久保存す
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どんな味するんだろうと摘まんでは戻す固形絵の具の包み
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夏の空狂おしいほど青く澄む 僕らの切なさすべて殺して
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蝉しぐれ今こそ鳴けよみんみんと七年分のストレス発散
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暑すぎてついつい怠る自己肯定 気にしないでしょ? 一人消えても
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理由わけもなく信じていたの君の裸のままの左手薬指
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君のこと いっそ食べちゃいたいけれど 存外僕は 少食なのよね
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いつか描く予定ばかりを買っていて白く積まれてゆく水彩紙
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夏をパテで塗りあげている頭痛ある籠もる疲労に、微熱かな
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サイダーは砂糖水へと変わりゆく 気泡賑わう時間は過ぎて
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君のLINE三言目ゆうに足りなくて歩き通話に「なんでもない」、の
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シーグラス越しの青空 今度こそ夏を終わらせられますように
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君と僕 あまりに違いすぎるのに 「似てる」と思ってしまうのが
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陽のあたる特等席で密談を「お子様ランチ食べたことある?」
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サヨナラの音を聞きたくないですか?ほらあそこにも落ちていますよ
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くるくると時計の針が12時で出逢ってしまう前におやすみ
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とめどなく好きとあふれる君となら子宮の中も君だったはずさ
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たぶんこの小さき人は顧みず前だけを見て進むだろう ほら
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ゆるゆるとクリームソーダ飲む君の口許をこっそり見つめてた
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暑すぎる 夏過ぎるのは いつの日か 秋の虫たち 早めに頼む
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一人だけ 家で帰りを 待つ僕は 旧暦十月 留守神恵比寿
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熱気・悲鳴・諦めた世界・ヒステリー すべてリアルできみだけ虚構
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