真夜中のドアはさみしい「追いかけてほしかった」という君がいそうで
10
頬を撫ぜ溶けゆく雪のつめたさにきみは無言の讃美歌を聴く
4
演劇の脚本作りの楽しさで感じなくなるこの冬の寒さよ
5
地は不動 動くのは天 そうじゃなきゃ私はとても立ってられない
2
諸事情でとくべつ嫌いな屋根の上 祖父が帰って僕が落球
1
誰もいない 筆にてでんでん虫を書く 太陽がいる 動き始めろ
3
忘れない 今日も触れず 死んでゆく 進路と言う名の 私の背丈
1
戦争は終わったという歌声は粉雪のごとイヴの夜に降る(Happy Xmas-War is Over-)
2
白銀の世界に魅入られた命よ 皆が愛するマイ・フェア・レディ
1
愛よりも敵意が支えになることはあるよね空缶に挿す狗麦
6
満月にあわせて道路がかたむいて コーンスープの水面が揺れる
2
会いにいく 沈むな夕日すこし待て 町を 僕らを 染めてはくれぬか
4
ルービックキューブを回して揃わない地球の青はバラバラのカラー
1
大罪を 冒さぬうちに 切り上げて 賢い人に なれればいいが
1
ネガティブな 心でいれば 天国も 地獄と同じ 光も闇に
0
現実は 見つめたくない 逃避癖 穢れたままで 天には行けず
0
辛うじて 生きているけど 理想とは 程遠いよな 涙も出ない
1
何かして 追いつめられた 人間は 何をするのか 誰もわからず
1
毎朝の 新聞確認 習慣に。 四・零二の 数字に奮起。
2
冬休み 二次方程式 書く右手 食べすぎ注意 黄色の親指
6
空寂を憂えるものは寂だけでいいんだ天に唾を吐くのも
1
打ったとて響かぬ世界で生きている 自己プロデュースの波に揉まれて
1
傷だらけの手であなたが傾けた傘の下だけ明るくなった
1
ノンクリスチャンの祈りは父でなくもう会えはせぬあの人へ向け
4
パルメザンチーズみたいだ 粉雪をまぶしたきみはおいしそうだし
1
繰り返し吐いては吸って生きている 止まらぬ呼吸ままならぬほど
2
窓を開け掃除機かけて口ずさむご機嫌な歌、鳥の合いの手
1
懐かしい歌を聞いては思い出す きみとすべてを集めていたこと
2
前髪の有り無しだけで悩めるのなんて楽しく素敵な暮らし
2
末永く憎んで生きていけるもの たとえば性別とか国家とか
1