バスタオル干せば西日に人肌のごとき風あり もう春よ春
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アズ・スロウ・アズ・ポッシブル オルガンの千年を地球ほしとかに捧げる
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インスタント味噌汁 バナナ 肉 魚 油 ふりかけ 明日買うもの
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一日で100%いなくなる 使い捨てなり マイアンブレラ
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ニッコリと人と挨拶交わしける制服姿「可愛い」と云われ
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ポテサラの「その他」の部分、宇宙だと星とか以外の黒のことらし
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Je me demande si tu préfères «je t'égorge» à «je t'aime».「すき」よりも「のどもとに刃をつきたてる」がきみのよろこぶことばなのかな
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いつになく夜が恋しい後ろ髪引かれる先に夢が微笑む
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日常と非日常とを行き来する世界の名前はまだ呼べぬまま
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実践プラクティス業としての夜プロスティテュート冥界の春プロセルピナ書かれ得ぬ声プロソディー加料鋼琴プリペアド・ピアノ
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新学期のみなさまにお知らせします 人類はもう滅亡しました
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我々は歴史の中に今いるね 世界が変わってゆくところだね
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コロナ前コロナ後と分ける世界になるね 戦前戦後みたいになるね
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モミザ畑賢治の「ブスコーブドリ」なる 伝記の結び涙ホロリと
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かぎりなく嫉妬めいたあこがれを強くにぎった手でつたえ 「ママ」
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薄目あけて見るきみの顔が美しい花みたいで路傍ろぼうにぽつん
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きみとなら生きてみたいと遅すぎる返事をどこに置いたらいいの
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ちくちくと編み続けてたストールを母へと贈る今日の佳き日に
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君となら死んでもいいと思うことそれが恋だと今ならわかる
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桜降る心は今も冬なれど君の側には春来るらむか
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雀の子公園の下に落ちており 両手に包みミルク含ませ
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数ヶ月後に追い越してしまう歳 雲よ このまま  流れ な  い で  よ
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落ちてゆく視力のことを言い出せずふたりはいつもひとりだったね
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寝るための準備万端ととのえて寝落ちしたのが今きいている…
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重力というものがもしなかったらふわふわ浮いていられるのかな
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土色のシェヘラザードを抱き上げて赤いりんごをひとつ放った
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ひと房のむしられた花 蕊だけが枝に残って上を向きおる
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朝もやの晴れぬ中ならあの顔も思い出せそうで口が乾く
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あっけなく人は亡くなる現実に日本が気付くコメディアンの死
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ふと私達ぼくらは赤の他人でありながら互いが兄弟しまいなのだと、思う
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