なけなしの 思ひで箱を さらつては 愚鈍の痛みに 項垂れてをり
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悩みって小さいものです だってほら、薄くて狭い。私は大きい
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家を出るつもりで入れたコンタクト  昼過ぎ外し、よそ行きを脱ぐ
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肉体の数だけ私が絶対に行くことのできない場所がある
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雪霞 夢はうつつで春近しこんな季節にさよならするの
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面白い事は自分で決めたいの 自由くらいは欲しいですから
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壁紙に画鋲ケーキに蝋燭を刺す役降りる世界は変えない
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プリズムのごと心こそ分けられず全色混じりの黒丸の臓
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エアコンが喉の奥までかわかして さよならだけが言えなくなった
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空覆う 星の数ほど ありふれた 遠い私を ラジオが語る
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さらば世と 表通りの アマガエル 一人静かに 闇に飛び込む
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我先と競うものでもないでしょう笑っていても春は来るのに
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想い出を手繰り寄せてる誕生日祖父の目尻に歴史流れて
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息白く空に舞う雪ひらひらとわたしの肩にそっと降りたつ
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ポソポソで不味くはない。 家庭科で女子が作ったぼんやりクッキー
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真夜中のホットミルクよ願わくば闇に陥る思想をとめて
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「寂しい」もすぐに忘れて生きていく ふと振り向けば春の匂いで
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「西側のベランダ付近にありました」 白無地タオルの居場所を求む
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在る星の、ただそれだけの美しさ。繋ぐ術すら知らぬ僕にも
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死んだから 初めて気づくホクロ、傷 もっと早くに気づきたかった
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誰彼の 思ひ出一つ分け合って 怖し苦しで語れずに 間に浮いた二つの想い
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泣きじゃくる 2人の今までなぞらえて 誰も分かると、言えなくて 孤独分けあう春の夜かな
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今日死んだ蜉蝣の数 あなたしか知らない言葉の消えてゆく数
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目が合ったその一瞬の窒息感 首にかかった手は恋だろう
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あの日きみを待ち続けた日の雪はまだ止まずに僕の心に積もる
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さびしさと同じ歩幅で歩いてく なくしていったものたちのため
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ねえ聞いて会いに行くから待っててね今も息する世界のどこか
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SIM無しの 僕のスマホは 鳴りません 電話じゃないし 友達いないし
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今日は春 昨日は冬で、 冬・春・春? 花咲き始めの 明日は春かな?
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この恋にいつか終わりが来るのなら桜ではなく椿のように
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