あの笛を 買ってとねだる 娘(こ)をみれば  その指先に 翁草笛を吹く
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愛情に飢えたケモノがここにいます。憐みを与えないでください。
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土手沿いの夕焼け小焼けの帰り道君の吹く口笛きいていた
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I amを仮定して境目をなぞるこれを私の文学とする
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かのひとの残したように限りある鱗を剥がすよに歌を詠み
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悩みとか心配事は転がそう  三角定規のお山の上から
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波風に 巻き立つ砂は 忘れゆくなにかのかどを 削り流れる
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君という 大きな槌に 叩かれて 僕はどんどん 澄んでしまうの
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心臓を蹴り飛ばすみたいなキスで今すぐ夢を終わらせてくれ
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忘れ雪温泉の中君恋ゆる隣人と我眼を見合わせむ
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したくもない自慰 読みたくもない漫画 いっそ焦りも消えればいいのに
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忙しい! 頑張る心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忙」いそがしいと云ふ
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忘れたい! 思う心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忘」わすると云ふのだ
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傷口を わざわざさらす 理由はない だからわたしは 口を閉ざすわ
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通路脇ベンチ菓子パン食べる夜 品川駅とひとつになれる
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自由律短歌を何首 詠んだとて 自由になれたためしなどない
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石たちを見つめる君のの色に溶け合う石で指を飾ろう
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僕だけが いない街です 僕だけが ただ僕だけが いない街です
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ごろごろと茹でた卵を取り出して握り潰してしまいたい夜
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ひんやりと電車の音が突き刺さる 僕はまだ息を止められない
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ふわふわでほんわかしててすべすべですうすうしながらしゅわしゅわなきみ
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魂を 自らの手で 研磨して 濡れて輝く 悲しきダイヤ
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あまりにも まぶしくひかり つぶれた目 故に呼ばれる “恋は盲目”
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本当の自分ではないはずなのににせの自分を脱げなくなった
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偶然に会えるの期待し自転車で走る夕刻あの娘ん家
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沈黙が 風が通りすぎてゆく おそらくもっと、大事なものも
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一緒だとなんだか胸がいっぱいなんだ  チーズケーキ、ひと口ちょうだい
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カーストの てっぺんにいるやつらには そもそも下など見えてはいない
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短歌短歌詠めぬ鍛高なんだっけそういやどこに隠した酒は
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「つまり君、そういうやつだ」真似するのだいたい友達ルロイ神父と
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