君よりも二秒遅れて目をつぶる 君で眠って君で起きたい
0
苦しいと嘘をまたつく冠雪が今年は遅い山々を見る
1
こぬか星滲みし夜空見上げればうまくいかないことばかりなり
0
ひとひとり失うことを忘れるということなんてできるだろうか
0
秒針の音しかしないこの部屋で細きケーブル親指に巻く
2
公園に幼子ははと二人いて児が喜べば母も笑えり
0
葉が落ちて裸になった森の木々えだの隙間の数だけの空
0
なるようになっていくのだ何事も手の甲に浮く静脈を見る
0
こんなにも生きていくのが苦しくてつり革を持ち曇天を見る
1
パソコンのマウスが二つ並んでるこんな夫婦になりたかったな
1
空腹の大人のような顔をする裸になって痩せ衰えた森
0
駅伝を観ずに新年過ぎてゆく珈琲だけは美味しく淹れよう
9
初詣 馥郁かおる古都の町 雅に酔いて 春はまだかと
2
社会的存在として「同期」する、したい、してしまうのだねヒトは
0
変わらない のんびりひらパー生き残り 大手潰れし栄枯盛衰
0
旅に出ようと思った パスポート見つからなくて 本を二冊買った
0
そんなつもりじゃなかったと言うなら言葉選び検定は六級
19
あかねさす 昼に酒飲み ぬばたまの 夜も酒飲む 年始このごろ
3
正月も あと数刻で 終わりなり 三日からは もう仕事の身
1
見上げれば 雲間に光る太陽に まばゆい網膜 さあ歩き出そう
0
彩れよ 細胞よ踊るその手足 凍える夜の星のまたたき
1
てのひらにそれを感じる雨の朝遠く重なる裸木に霧
0
とめどなく川は流れる側溝の廃油の膜に美しき虹
2
乳歯とはいずれなくなる永遠と独りつぶやく冬蜂が死ぬ
0
さみしさを夫婦で分ける白煙の高く高くとたなびくを見る
0
水鳥は静かにもがく池の土手さみしき藪に雉の鳴き声
0
決断の色ってどんな色だろう赤く赤くと散り急ぐ木々
0
転んでは起き上がるのを繰り返す木の葉の雨を静かに纏う
0
信号が赤ばかりの日もあって言葉を含む風が冷たい
1
朝起きて洗面台に水をため栓を引き抜き渦を見ている
1