よいしょっと朱肉の蓋を開ける指の皺に見とれる会議の合間
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心という授かり布のしわのばし取れぬ折り目をなずる日もあり
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黒板とチョークのこすれる嫌な音が「こゝろ」という字の悲鳴であった
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あついね、は言葉にしない 手を離す理由をひとつも与えたくない
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サッポロのビ|ルジョッキをキンキンに。ガラスが鳴る音それは涼しげ。
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蜃気楼、思い出すのは甲子園。猛暑の熱を少し冷やして
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夕方のうだる熱気に風が吹く屋台で手羽先夏なんだなあ
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「いつもの出しておきますね」耳鼻科医の薬が効いて柔いねこ抱く
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節くれた指を広げて 夏木立 雲を空ごとちぎってしまえ
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手の先に 燃ゆる星空生み出して 夏が始まる 私生きてる
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雨上がり 空に落ち行く 滑り台 世界あべこべ 迫り来る夏
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『思い出』の一つ覚えで何もかも許せるはずがないだろう、夏
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なぜだろう君の体温伝わるとこの世の全てのキラキラ止まらない
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ついに来た 非常事態の オリンピア 開会式も 観客入らず
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別世界 肉体鍛え 完璧な 業を繰り出す アスリートたち
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暗い世に 俯いたまま 過ごすより チャンネル回せ 憂さを晴らそう
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ヒーローを 探しに来たら 競技場 天才だらけ 讃美の嵐
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退屈で 平凡過ぎる 人生に 必要なのが お祭り騒ぎ
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人間が どこまでやるか 見てみたい 好奇心だと 思われるかも
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スポーツを 讃美する気は ないけれど 確かに人を 驚嘆させる
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練習を 一生懸命 した結果 神業として 見世物小屋に
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スポーツが いつしか見てる 人に手に 移りて今や 金に塗れて
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コロナでも オリンピックの 火を灯す 経済原理 娯楽追求
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朝顔は閉じていたって美しい君も無理して笑わなくていい
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歌えてたはずだった歌を閉ざされて ただじっと聞く明け方の蝉
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球体は四方八方全てかど 和して同ぜずまるみの矜持
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紙風船透かしてみれば咳の日のひとり遊びの手の中の虹
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かの国の少女はシャッターを切られて僕はスマホでスクショする
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主観的には何色であろうともひとまずあれは真っ青な空
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一日中逢いたい人に逢えなくて日永ひながを恋焦がれ休日の夕刻
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