Utakata
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図書館にいると聞こえる野球児の声は夏を終えていた
1
夢みたい きみとふたりで待ち合わせ 明日になるのが うれしい こわい
4
引き鉄を引いた瞬間 得体ない真黒きものが俺を蝕む
4
冷房を最強にして毛糸編む 今はまだ夏 今はまだ夏
8
巻貝の螺旋のおくの白き歌とほき日こぼし漂ひ出づる
5
思ひ出の影白くして流れ来て昔のことを巻貝は吹く
3
謎解きをさそふ螺旋を巻きながら貝の話は白に消ゆるや
4
朝足らず 仕事の時は 長過ぎて 夜また縮む 相対性理論
2
ルマンドの中に生まれた空洞が教えてくれた生きるむなしさ
7
雲間からのぞくオレンジのびていく 青く塗られた大きな紙に
1
「インスタで映える彼女になりたい」と中目黒から届いた葉書
6
いつか来るキラキラとした一日を ゆめみている「さっさと寝よう」
2
きみのこと短歌のネタにしてるのがいつバレるのか怯えるわたし
7
恋人を優先するのが愛ならば自己優先は依存でしょうか
1
人は皆全治数秒の傷を持ち日々を過ごしているのだと思う
5
二人分 片道切符 4時間後 一人分の 片道切符
1
十二時を過ぎてもかぼちゃは馬車のまま 延滞料金取られるかしら
5
あなたとの終わりが嫌でそれだから始めないのもまた愛なのです
2
「暑い日が続きますね」がまるでもう呪文のように飛び交うこの地
3
何度でも往復すればいい何を欲しかったのかしたかったのか
5
どこまでも地の果てまでもいつまでも牧草
絶
(
た
)
えぬ別海の絵を
1
白き風わたりしことを知らぬまま木蔭に白きあぢさゐ揺るる
1
心うちに重きもの抱きあを空を見上ぐればもう沈みゆく海
2
西風に終はりよければ全てよしシエイクスピアの語りわたりぬ
2
はじまっていないものから終わる夏 夜明けに夜明けの稚魚を探そう
3
自己表現 誰がための歌? 僕の歌 なのにあなたは なぜなくの?もう。
0
草臥れたかに見えた鳩が突如飛び立ちより深くなる森林
0
記憶とは壊れてからが本当で七日で世界だって創れる
2
ごめんなさい 病めるときには愛せない 元気になったら焼肉食べよ
5
盆出勤ゴーストタウントウキョウを窓から見下ろし
カロリーメイト
(
ディストピアメシ
)
食う
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