赤き血が流れるなどは信じられぬ 見つめる手首枯れた梅の木
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こんな世は生きていたってしょうがないト思いながらも夕飯を喰う
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不毛なりマクドバーガー食べ較べどちらもカツでソースの違い
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金曜日ジンジャエールの発泡が口に痛みを伴う夜に
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赤らめた頰打つ夜風の冷たさが貴方の所為ではないのでしょうに
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ポッケのね穴から金貨が舞い込むの縫われた傷は癒えないのにね
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宿り木の夜の地響き寒かりしダンツィヒの地太鼓鳴る鳴る
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掃除機に溜まったものが這い出して 持ち場へ戻るようにして生きてる
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プードルのマロンが腰を振っている彼女の実家で怒られている
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ジャンコクトゥ冬の夢にし孤独性くらき部屋より光のざわめき!
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世界旅何時の時から貧乏旅セリーヌの夢眠りの宿
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まちがいはいつのときでもトルコ人かろやか飛翔きみ愛唄う
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へいたんなきみどりのなかあるく夢ここは絵本のなかの草原
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迷いしの宮殿でもなく血でもなくただ貴方への愛の計量
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重き指成れるは果ての夜の旅北国画家が静かに微笑む
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祖国とて 星の瞬き 夜憂夢 ピアノの調べ ハンガリーなり也
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めいていの底とうめいな瓶の底透かしてひかる非常口の灯
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すつぽりと麦わら帽子の翳にある昏きにしづみ広がる世界
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翳のなか人みな光りうごきゆく夏日の白きフイルムに流れ
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麦わらの帽子のつばをめくる風ゆき先をもう知りてゐるかな
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ワンピース袖からのぞく肩紐をそっとくぐって夏は過ぎゆく
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背後から呼ぶはわたしの亡霊かもしももしもと泣いている声
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ここにいるわたしを選び生きてゆく選ばなかったまぼろしを連れ
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あなたには龍の雲ありしたたかに雨落とす影白々と立ち
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後輩を育て続ける環境を整える気があなたにあるか
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見通しのよい地点から沈む陽を見ていたずっとこうしたかった
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変わらずに毎日きみを待つぼくを線香と花のにおいがつつむ
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炎天下はずむ足どり買ってきた君のおすすめバルサミコ酢を
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風吹かば足元そよぐ彩りのくしゃりと鳴らす秋の訪れ
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何もせぬ今日を過ごして良き日だと肯定できる自分を創りぬ
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