ひとつだけだよ服も何個もないそれが自分の色となりなむ
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過去がそう今を作っているよなぁそして明日は今日が作るな
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ひとびとの祭の邪魔にならぬようかみなりさまはしずかに踊る
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エアフォースワンの黒を買おうかと思ったけどもマックスでいっか
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子午線がよじれた浜の細螺しただみは聴きに往くのよ其の音を今日
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牛丼屋 あの日々たちを思い出す ひと山越えた深夜に来てた
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朝戸出の君みおくるや山鳩の低くなきおり薄藍の空
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伝わらぬ歌をうたおう。なぜならばわたしはあなたに興味がないので。
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うちの刃物ではおばあちゃんのばさみが一番強いという気がしてる
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なあ、お前がわたしを嫌いなことなんてもう知ってるし取り繕うなよ
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棒のようなものを振り回したい欲あるじゃないですか殺意はなくても
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しめやかに薄藍のたへを光へとさし出づる朝まなうらにあり
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月一の早番の週が嫌すぎて世界をこの手で終わらせたくなる
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藍草の夏の葉で染むスカーフは翡翠色して風を待ちおり
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私はね願っちゃいない平和事詩集を読んで闇を知りたい
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下北で池袋でも本を買う最後に願うはそうヴェルレーヌ
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あの日より本が全然読まませぬ心を癒すは詩集ばかりよ
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東京はとても広くて爽だったショパンのディスク何枚買って
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明け方の遠くで火事が不穏なり私は読むよ『地獄の季節』
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明け方の異国の蹴球疲れてさ此処は何処で世界よ隠れるな
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ママチャリの後ろの籠を取っ払い二人乗りして夕焼けめざす
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暑さにて目が覚めた時夜更かしをする君に言う「お休みなさい」
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鯨ともくぢらとも違ふクヂラなる生きものに似合ふおほきスマイル
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空を飛ぶクヂラはきつとスマイルを世界の人にふりまきてゐる
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星を喰み月を喰みまた夢を喰むクヂラの歌はとりどりに映ゆ
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日に三度腹くちくなれきび団子 棒に振るなら犬のヘソ天
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孤独だが仲間と共に生きている一瞬にだけ解き放たれる
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ワクワクとドキドキがある世界にはニセモノもありホンモノもある
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靴擦れをにらんで願う 来世こそカルピスウォーター似合う女の子
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目指すのは日々生きるための歌? いや 日々そのままに共にある歌
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