顔あげて画面じゃなくて僕をみて孤独にさせる君はきらいだ
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落日が山間やまあいをふと飛び出して「眩しいだろ」と怒られている
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疫運ぶ 数多の我ら 駆けて行く 死の舞踏にて 降り積もる雪
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淋しさが 全てのことを 支配する 幼児体験 恐ろしきかな
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目薬を 差せば鼻炎が 酷くなり 医者もお手上げ 手術の予告
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人体が ウイルス如き 伏兵に 屈服するか 宇宙戦争
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面白き ソフトが今や 席巻し 人は巣ごもり 機械任せで
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ズームには 緑の布を 探しては 背景変える ぼろ家隠し
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ほら見ろよ 今朝もあそこに 立っている 老いぼれ爺 明日は我が身ぞ
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普通なら ロマンスはない 老人に 諦めさせる 理由もなくて
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老人に 鬼気迫るほど 死の恐怖 走らなければ 寝たきりになり
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暑くても 走れば少し 気が晴れて 汗もしたたる いい男かな
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蒸し風呂の ような今年の 梅雨なのに 走る我が家の 健康志向
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浅ましく 心苦しく キビキビと  知るも知らぬも アララクラクラ
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近頃は 選挙の時しか 行かない校庭が やけに狭く 感じられる
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彼の人へ 馳せた想いは 届かずに その様まるで 月下美人かな
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鼓星 それ映すは 灰簾石かいれんせき さそり来る きたるその季節まで
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父の言う「米酢ナントカ」紐解いて 耳傾ける檸檬のしらべ
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小舟ゆく闇溶ける海あいいろに 果て見えぬなら恋と呼べるか
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夜もすがらおれをさいなむゆめうつつ 耳をふさいだその色は青
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まだ着てんの?そのニルヴァーナのTシャツ あなたのいない二十七歳 
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いみじくも寡人に生を見さしむは遅効性の毒なりにけり
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過去未来時の流れに身を置かずただ今だけを刻々と見る
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また花を日は灼き雨は打ってゆく優しい人の人口比率
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傷つけて傷つけられて心臓の正確な位置知るとか嫌だ
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ほらあのさガードレールの根元からひょろひょろ伸びる蔓のことだよ
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不合格という書式で作られた無言の刃物 もう襲うなよ
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蹲ることは罪ではないけれど立ち上がらねば烏が嗤う
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そばにいることだけが愛じゃあないと教えてくれた紙の住人
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水筒に弁当、おやつ、しおり持つ5月の君にボンボヤージュを
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